日立製作所は2016年10月28日、2016年4~9月期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比9.4%減の4兆3537億円、営業利益は同15.0%減の2328億円で減収減益となった。円高の影響で2000億円、日立物流を連結対象から外した事業再編で1420億円、空調事業の再編で390億円が減収要因として大きい。金融や公共分野を中心にSI関連が堅調に推移したが、海外向けATMの販売などが減少した。4~9月期に事業構造改革費用として、通信ネットワークやストレージ関連に約270億円を投じたことも明らかにした。

 会見に臨んだ日立製作所の西山光秋執行役専務 CFO(最高財務責任者)は「メガバンク向けやマイナンバー関連のSI案件の需要は強い」と話した。金融や公共分野では、大型案件が見られた前年度に比べて減少したものの、国内のIT投資は堅調に推移しているとの見通しだ。一方で、サーバーやストレージなどハードウエア関連では、市場環境の変化を含めて一定のリスクを見込む。

日立製作所の西山光秋執行役専務 CFO
日立製作所の西山光秋執行役専務 CFO
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 「情報・通信システム」部門の2016年4~9月期の業績を見ると、売上高は前年同期比7%減の9270億円、営業利益は同56億円増の556億円で減収増益となった。減収要因は円高の影響など。前年度から継続している、通信ネットワーク事業を中心とした事業構造改革が増益に寄与した。2016年3月期に投じた事業構造改革費用のうち、この4~9月期の効果は「全社で250億円相当」(西山CFO)。このうち情報・通信システム部門はおよそ半分を占めるという。

 日立製作所は2017年3月期通期で800億円を事業構造改革費用として投じる計画。情報・通信システム部門では、主に通信ネットワークやストレージ関連事業が対象で、拠点の整理やグループ内外の人員再配置などだという。

 2017年3月期通期の連結業績予想は、売上高は前年同期比10.3%減の9兆円、営業利益は同14.9%減の5400億円と据え置いた。