NTTドコモは2016年10月28日、2016年4~9月期の連結決算(米国会計基準)を発表した(写真1)。売上高は前年同期比3.3%増の2兆2883億円、営業利益は同26.6%増の5856億円と、増収増益だった。通信事業が大幅に拡大したほか、今後の成長の柱に掲げるコンテンツや金融・決済などの領域(スマートライフ領域)が着実に伸びた。

写真1●2016年4~9月期の連結決算を発表するNTTドコモの吉澤和弘社長。
写真1●2016年4~9月期の連結決算を発表するNTTドコモの吉澤和弘社長。
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 2016年4~9月期の営業利益の内訳は、通信事業が前年同期比24.9%増の5247億円、スマートライフ領域が同43.5%増の609億円。伸び率はスマートライフ領域が目立つが、2017年3月期の通期目標である1200億円に対し、ほぼ計画通りである。全体に占める比率が大きい通信事業が増益に大きく貢献している。

 2016年9月末時点の携帯電話の契約数は7294万3000件。うち、スマートフォンとタブレット端末の利用数は3408万8000件に拡大した。2016年7~9月期の主な指標数値を見ると、純増数は133万件、解約率は0.53%、ARPU(契約当たり月間平均収入)は前年同期比230円増の4420円。ARPUの内訳は、音声が10円増の1250円、パケットが同80円増の2990円、ドコモ光が同140円増の180円となっている。

 2017年3月期の営業利益予想は300億円増の9400億円に上方修正した(写真2)。減価償却方法を定率法から定額法に見直すことによる増益効果は当初500億円を見込んでいたが、100億円増の600億円とした。コスト効率化の取り組みも当初計画の800億円から200億円を上乗せして1000億円とする。

写真2●2017年3月期の営業利益予想を上方修正した主な要因。
写真2●2017年3月期の営業利益予想を上方修正した主な要因。
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 一方、総務省の料金タスクフォース以降に打ち出した各種の顧客還元策による減収は年700億円規模を見込んでいたが、8月開始の「はじめてスマホ割」、9月開始の大容量プラン「ウルトラパック/ウルトラシェアパック」、同日発表した子育て家族向けの優遇策の追加で年1100億円規模に拡大した。ただ、2017年3月期では上記の取り組みに加え、純粋な成長分も合わせて300億円を上乗せできる見通し。2017年3月期を最終年度とした中期目標の達成もほぼ確実で、2020年度(2021年3月期)に向けた次の中期計画は2017年3月期決算で公表する予定である。

 NTTドコモは同日、子供のいる家庭を対象とした新たな優遇策「子育て応援プログラム」も発表した(写真3)。両親のどちらかが「カケホーダイ&パケあえる」に契約していれば子供が小学校を卒業するまでの毎年、誕生月に3000ポイントのdポイント(ポイントの利用期間は6カ月間、用途は限定)を付与する。事前登録が必要で、ポイント付与の対象は回線当たり最大10人まで(両親で最大20人)。子供の写真を「ドコモクラウド」に保管し、「フォトコレクションプラス」でフォトブックを作成できる特典なども用意した。

写真3●新たに投入する「子育て応援プログラム」の概要。
写真3●新たに投入する「子育て応援プログラム」の概要。
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 吉澤和弘社長は子育て応援プログラムについて、「今回(の内容)で終わりとは思っていない。区切り区切りで追加していく」としている。その一方で「すべての顧客にメリットがあり、かつ競合他社とも差異化できるような施策はなかなか難しい。(ターゲットを)絞りながら差異化を図っていくことになる」(同)との考えを示した。

 このほか、12歳以下の子供を対象とした「キッズケータイ」専用の新料金「キッズケータイプラス」も発表した。親が「カケホーダイ&パケあえる」に契約していれば月500円(2年契約の場合、期間拘束なしは月1000円)の追加費用で利用できる。家族間の国内通話料も無料である。子育て応援プログラム、キッズケータイプラスともに提供開始は11月1日。