富士通は2016年10月27日、2016年度の4〜9月期連結決算を発表した。売上高は前年同期比7.0%減の2兆850億円、営業利益は同383億円増の258億円となり、減収増益となった。海外市場では円高の影響を大きく受けたほか、欧州向けインフラサービスや米国向けネットワークプロダクトが売上減となり、15.9%の減収となった。国内市場ではほぼ前年同期並みという。LSIや携帯電話事業が減収となったが、システムインテグレーション(SI)やアウトソーシングなどを中心にサービスが好調に推移して増益だった。

 2016年度上期の業績をセグメント別にみると、「テクノロジーソリューション」「ユビキタスソリューション」「デバイスソリューション」の主要3セグメントで減収だった。大きな減収要因は円高による影響である。同社取締役執行役員専務CFO(最高財務責任者)の塚野英博氏は、「それを除けば前年同期比とほぼ同程度(1%減)だった」と述べた。ただ、為替影響を差し引いても売上高が増加した主要セグメントはなく、課題の残る結果となった。

2016年度上期決算の業績を説明する富士通取締役執行役員専務CFO(最高財務責任者)の塚野英博氏
2016年度上期決算の業績を説明する富士通取締役執行役員専務CFO(最高財務責任者)の塚野英博氏
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 同社の主力セグメントである「テクノロジーソリューション」の売上高は前年同期比6.5%減の1兆4191億円、営業利益は同210億円増の533億円で減収増益。内訳を見るとサービスのソリューション/SIの売り上げが前年同期比0.3%増の4654億円と過去最高の売上高となった。この理由について同社は、製造や流通が好調だったためと分析する。一方、インフラサービスは欧米を中心に低調で、円高の影響も受けたため同10.4%減の7407億円となった。

 PCや携帯電話などの「ユビキタスソリューション」セグメントでは、売上高が前年同期比4.2%減の4836億円、営業利益は同309億円増の187億円で減収増益となった。減収要因として、ハイエンドモデルを中心に携帯電話の売り上げが減ったことを挙げる。PCはほぼ前年と同程度で、モバイルウエアは増収した。営業利益では、円高によるドル建て部材のコスト低減効果と、効率化により改善した。

 半導体や電子部品の「デバイスソリューション」セグメントの売上高は前年同期比13.7%減の2694億円、営業利益は同183億円減の2億円で減収減益。スマートフォン向けなどのLSIの需要減に加え、円高が影響したことで大幅に業績が悪化した。

 2016年度通期の売上高予想は、為替の影響を考慮して7月に発表した前回予想から1000億円下方修正し、4兆5000億円(前年度比5.0%減)とした。通期の営業利益予想は1200億円、純利益は850億円と据え置いた。