日本HPは2016年10月25日、報道陣向けの説明会を開催し、最新の情報セキュリティへの取り組みを紹介した。米HPの研究機関の研究者などが、PCやプリンターなどのエンドポイント端末におけるセキュリティの重要性を強調し、PCの起動を制御するBIOS(Basic Input/Output System。ファームウエアの一種)の自動修復機能などを紹介した。

 米HP ラボ・セキュリティラボ セキュリティ・リサーチ&イノベーション部門 チーフ・テクノロジスト HPフェローのボリス・バラシェフ氏は、コンピューティングがネットワークのエッジに移動しており、ユーザーの近くにあるPCやプリンターなどのエンドポイント端末がセキュリティの前線になっていると解説。また脅威のトレンドの一つとして、攻撃はソフトウエアを標的としたものからハードウエアやファームウエアを標的としたものに移行していると指摘した。こうした攻撃はシステム全体をコントロール可能で、検知や駆除が難しい。かつ攻撃が成功した場合、ハードウエアのレベルで修復する必要があるという。

米HP ラボ・セキュリティラボ セキュリティ・リサーチ&イノベーション部門 チーフ・テクノロジストでHPフェローのボリス・バラシェフ氏
米HP ラボ・セキュリティラボ セキュリティ・リサーチ&イノベーション部門 チーフ・テクノロジストでHPフェローのボリス・バラシェフ氏
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 米HP ビジネス・パーソナル・システムズ セキュリティ&プライバシー チーフ・テクノロジストのヴァリ・アリ氏は、「Windowsの起動前に膨大なコードが実行されるBIOSの存在を気にしている。実際の攻撃も見つかっている」と話し、BIOSに搭載する防御機能である「HP Sure Start」を解説した。この機能は攻撃や破損、トラブルなどによるBIOSの破損を自動的に検知し、ログに記録して自動的に修復する。2013年に企業向けPCに初めて搭載され、現在は製品名に「Elite」が付くノートPC、デスクトップPC、ワークステーションと法人向けレーザープリンターの「LaserJet」に搭載されている。将来は、中堅・中小企業向け製品にも搭載機種を広げていくという。

米HP ビジネス・パーソナル・システムズ セキュリティ&プライバシー チーフ・テクノロジストのヴァリ・アリ氏
米HP ビジネス・パーソナル・システムズ セキュリティ&プライバシー チーフ・テクノロジストのヴァリ・アリ氏
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