日立製作所は2016年10月24日、スマートフォンのカメラ機能を使って指を撮影するだけで指静脈認証ができる技術を開発したと発表した。専用機器を使わなくても、普段持ち歩いているスマホだけで生体認証ができるようになる。今後の製品化を予定している。

スマートフォンのカメラで指静脈認証を実現する技術の概要
スマートフォンのカメラで指静脈認証を実現する技術の概要
(出所:日立製作所)
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 スマホで複数の指を同時に撮影するだけで、指静脈認証を使った生体認証を可能にする。通常のカメラ撮影、つまり可視光の反射光だけで、色の違いを利用して指の静脈パターンを抽出する。複数の指の静脈パターンを組み合わせて判定することで、認証精度を担保するという。

 要素技術として、指の静脈に特有な色合いを持つ部分を強調する画像処理技術を開発した。これにより、変化しやすい皮膚表面のしわと静脈を区別し、安定的に指静脈パターンを抽出できるとしている。さらに、画像に映り込む背景に左右されず、指領域だけを抽出して位置や向きを検出し、それぞれの指の傾きや大きさを補正する技術を開発した。

 一般的な指静脈認証では赤外線を利用する(関連記事:日立Sol、指静脈認証の動作を保証するシンクラ端末を拡大)。赤外線を指に当てて透過光を撮影することで、静脈の場所を抽出する。このため、USBなどでパソコンに接続して使う専用の指静脈認証デバイスが必要になる。認証ソフトと併用する形で業務システム分野で使われている。

 今回、日立は従来より手軽に利用できる仕組みとした。金融機関でのログイン認証などの用途を想定しているという。