日本オラクルは2016年10月24日、データベースのクラウドサービスとして「Enterprise Cloud Service」と「Exadata Cloud Service」を2016年11月に開始すると発表した。続く12月には、データベースのクラウドサービスのインフラを自社に置くサービス「Exadata Cloud Machine」の提供を始めるとした。

 さらに独立系ソフトウエアベンダーを支援する「ISV Cloud Readyプログラム」と、データベース最新版の「Oracle Database 12c Release 2」に関するコンサルティング・サービスメニューを同日から提供すると発表。報道機関向けに同日開催した「企業システムのクラウド移行を支援する取り組みに関する発表会」で明らかにした。

 大企業のアプリケーションを運用可能な「Enterprise Cloud Service」と可用性を高めた「Exadata Cloud Service」、Exadata Cloud Machineはいずれも、内部的にリレーショナルデータベース管理システムの「Oracle Databese 12c Release 2」を採用する。同製品は中堅中小企業および開発用として提供済みのクラウドサービス「Exadata Express Cloud Service」でも採用されているという。

 発表会では日本オラクルの石積尚幸執行役副社長クラウド・テクノロジー事業統括が、Oracle Databese 12c Release 2の特徴などを説明。Oracle Databeseはデータファイルを「PDB(Pluggable DB)」として着脱式にした「マルチテナント」と呼ぶアーキテクチャを、前バージョン(12c Release 1)から採用している。Release 2では1インスタンス当たりのPDBの数を前バージョンの256個から4096個に増やした。PDBごとに割り当てるメモリー量も設定できるようにした。PDBを取り外して移行する際の停止時間もRelease 1より改善させたという。

日本オラクルの石積尚幸 執行役副社長クラウド・テクノロジー事業統括
日本オラクルの石積尚幸 執行役副社長クラウド・テクノロジー事業統括
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 石積氏はOracle Databese 12cのメリットを、「Oracle Databese 12cの機能によって企業の運用コストを低減できる。削減した分で(顧客接点となるフロントのシステム群である)SoE(システムズ・オブ・エンゲージメント)に投資したり、(データを処理するバックエンドのシステム群である)SoR(システムズ・オブ・レコード)のクラウド移行を進めたりできる」と話した。さらに「マルチテナントにより開発やテスト、運用など時々の環境に応じた場所にデータベースをタイムリーに移動できるメリットもある」と話した。

 発表会の冒頭、日本オラクルの杉原博茂取締役代表執行役社長兼CEO(最高経営責任者)が登壇。同社のデータベースの歴史を振り返り、Oracle Databese 12c Release 2を「小規模からエンタープライズ規模までカバーするクラウドサービス(を支える中核製品)として、顧客にまず提供した“クラウド・ファースト”の製品」と位置付けた。

日本オラクルの杉原博茂 取締役代表執行役社長兼CEO(最高経営責任者)
日本オラクルの杉原博茂 取締役代表執行役社長兼CEO(最高経営責任者)
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 米オラクルから出席した、データベース・サーバー技術担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのアンドリュー・メンデルソン氏は、「どのクラウドがベストか」というテーマでプレゼンテーションした。同氏は米アマゾン・ウェブ・サービスの「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」 と比較しながら、オラクルのデータベース関連クラウドサービスの優位性を強調。用途によらず同一のデータベースを使えること、ベンチマークの結果がAWSより高速だったことなどを挙げた。

米オラクルのアンドリュー・メンデルソン データベース・サーバー技術担当エグゼクティブ・バイスプレジデント
米オラクルのアンドリュー・メンデルソン データベース・サーバー技術担当エグゼクティブ・バイスプレジデント
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