2016年10月21日の午後2時すぎ、鳥取県倉吉市などで震度6弱を観測する地震が発生した。IT各社や現地に製造設備を持つ企業は被害の調査を進めているが、ITや通信関連のインフラには大きな被害は出ていないようだ。

 倉吉市役所は庁舎の窓ガラスが割れたり外階段に亀裂が入るなどの被害が出た。地震発生後は職員が一時的に避難したという。「情報システムは大きな被害は無い」(総務部情報処理係)という。「1時間ほど停電したが自家発電が作動したので問題が無かった」(同)。

 ITベンダー大手は、工場やデータセンターなどの拠点を島根県や兵庫県に設けているが、大きな被害は無かったようだ。富士通は、島根県出雲市にPC事業の工場を置いているが「稼働に影響は無かった」(富士通広報)。同社は兵庫県明石市にデータセンターを、NECは神戸市にデータセンターを持っている。両社広報によればいずれも「業務に支障は出ていない」という。

 鳥取県内にも路線網を持つ西日本旅客鉄道(JR西日本)の広報部によると、「現時点で鉄道の安全運行に係るシステムへの影響はない」という。米子空港では、「施設に影響があったという報告は受けていない」(米子空港ビル)としている。

 鳥取銀行は勘定系システムをNTTデータの地銀共同センターで運営する。NTTデータ広報は「特に問題は無い」と回答した。

 シャープは生産子会社のシャープ米子(鳥取県米子市)で一旦生産ラインを停止している。建屋、設備とも大きな損傷はなく、再開に向けた立ち上げ作業を進めている。従業員にも被害はない。営業拠点や広島県内の工場に影響は出ていない。

 ジャパンディスプレイは「製造ラインはもともと地震発生時に自動停止するようになっており、今回も自動停止した」と回答した。現在、製造ラインに問題がないか確認を進めており、「建物と従業員に対する被害はない。停電したという情報も入っていない」(同)。

自治体クラウドは正常稼働

 鳥取県が自治体を結び岡山県と相互接続する「鳥取情報ハイウェイ」と呼んでいる光ファイバー網には影響がなかった。サーバーやスイッチなども異常はない。

 鳥取県庁の業務用のパソコンは、「出先機関の状況までは把握できていないが、庁舎内で使用しているものについては問題は起きていない。鳥取県庁のWebサイトへのアクセス集中に備えて、災害協定を結んでいる岡山県側でミラーサイトを立ち上げる対応を取った」(鳥取県情報政策課)。

 鳥取県や鳥取県内19市町村の約半数に住民情報系システムをクラウドサービスで提供したり、鳥取情報ハイウェイの運用を委託されたりしている鳥取県情報センターは「県内に設置したデータセンターは免震構造のため、サーバーなどは正常に動作している」(経営企画室)という。鳥取市内の本社は「かなり揺れ、社員は一時的に退避した」。

 同社は岡山県内にバックアップ用のデータセンターを持ち、鳥取データセンターから非常時は手動で切り替え可能だ。今回は正常稼働を確認したので切り替えなかったという。