「360度カメラで撮影すると自動的にVRコンテンツを制作するツールを開発した。観光地や結婚式場などで実際に使われている」。「建築物の3次元の設計データからVRコンテンツを自動生成している。建築空間を体感し、音響や照明などの性能を評価することもできる」。「シミュレーションとトレーニングがVRの王道。特に不動産業界と建築業界は3Dデータを持っているのでVRとの親和性が高い」。

 2016年10月21日、東京ビッグサイトで開催している「ITpro EXPO 2016」において、「企業ITにVRを導入すべきか?」と題して、VR(仮想現実)技術を事業に活用しているユーザーとして、楽天、大成建設、コロプラネクストの3社によるパネル討論を実施した。モデレーターは、VR専門メディア「Mogura VR」の編集長である久保田瞬氏が務めた。

VR(仮想現実)技術を事業に活用しているユーザー3社によるパネルディスカッションの様子
VR(仮想現実)技術を事業に活用しているユーザー3社によるパネルディスカッションの様子
(撮影:中村 宏、以下同じ)
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 VRユーザーのうち楽天は、商用サービスとして実空間VRを提供している。現実空間を投影したVRコンテンツを使って現実空間を体験できるようにするもので、このためのVRコンテンツの制作ツールを開発した。各地方自治体やウエディングサービス企業に提供している。

 大成建設は建設業であり、3次元の空間データをVRコンテンツに変換して活用している。VRを使えば、設計段階の建物の内部を自由に歩き回る映像が見られる。さらに、三次元の幾何学情報だけでなく、3次元モデルを使って物理現象のシミュレーションも可能。データセンターの気流、ホテルのロビーの照明、音楽ホールの音響性能なども体験できる。

 コロプラネクストは、スマートフォン向けゲームなどを手がけるコロプラの子会社で、グループとして2014年からVRゲームを、2015年からは360度パノラマ動画の制作配信サービスを提供している。2016年1月にはVR専門ファンド「Colopl VR Fund」を立ち上げ、16社に投資中である。