日経コンピュータ編集委員の木村岳史は2016年10月20日、東京ビッグサイトで10月19日から21日まで開催している「ITpro EXPO 2016」会場内で「極言暴論ライブ」と称して講演した。ITproの名物コラム「木村岳史の極言暴論!」のライブ版だ。

日経コンピュータ編集委員の木村岳史
日経コンピュータ編集委員の木村岳史
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 木村は「ビジネスのデジタル化が進み、ITがあらゆる企業で”本業”になっている。業務システムの管理だけをしてきたIT部門は『ビジネスを知らない』、『最新のITを知らない』と本業になったITに置いて行かれる」と話す。企業はIT部門とは別に研究部門やイノベーション推進部門など「いわゆる”第2のIT部門”を作っている」(木村)という。

 ビジネスのデジタル化で既存市場を破壊する「デジタル・ディスラプション」が「あらゆる業界に訪れている」(木村)とし、「これまでもIT部門が用済みになると言ってきたが、いよいよその時が迫っている。カウントダウンはもう始まっている」(同)と話した。

 既存ビジネスをデジタル化するだけでは足りないとも指摘する。「カメラはデジタル化に成功したが、スマートフォンの登場で市場を奪われている。既存ビジネスを育てるだけでなく、新しいビジネスを作ってグローバルに広げていかなければいけない」(木村)。

 「SIer」と俗称されるITベンダーについても切り込む。「『お客様と協業してイノベーションに取り組む』と言うSIerがいるが、『お客』と言っている時点で期待できない。協業するなら『お客』ではなく『パートナー企業』だ」(木村)。

 そのうえで木村は、IT部門とITベンダーに「今まで積み上げてきたセキュリティや安定運用できるシステム構造のノウハウを無駄にしてどうする」と激を飛ばす。「セキュリティを不安視してイノベーションを止めようとするIT部門もあるが、的外れだ。新しいビジネスの成功にセキュリティのノウハウが必要だと、イノベーションに加わるべきだ。IT部門とSIerがイノベーションに置いて行かれてどうする!」(木村)。

 木村は最後に「IT部門にはプログラムを書いて、ビジネスを勉強して、エキサイティングな活動をしてほしい。開発力を取り戻してイノベーションについていかないと、いよいよ用済みだ」と講演を締めくくった。