「大企業とベンチャー企業の違いは何か」「競合相手との差異化をどう考えているか」「技術者のモチベーションをどうやって維持するか」――。

 2016年10月15日に開催された、大企業の次世代CTO(最高技術責任者)向けフォーラム「CTO30会議」では参加者からこうした質問が寄せられた。質問したのは同会議に参加する大企業の次世代CTO、回答者はベンチャー企業の現役CTOである。

2016年10月15日に開催された「CTO30会議」の交流セッション
2016年10月15日に開催された「CTO30会議」の交流セッション
[画像のクリックで拡大表示]

 今回の大企業とベンチャー企業の交流は、アマゾン ウェブ サービス ジャパンが運営するベンチャー企業のCTO向けカンファレンス「CTO Night」とCTO30会議の連携企画として実現したもの。ベンチャー企業のCTOとして、ソラコムの安川健太氏とMonotaROの安井卓氏が登壇した。

 大企業とベンチャー企業の違いについて、ソラコムの安川氏は「大企業では新しいことに取り組もうとしても、既存事業への影響を考えざるを得ない」とし、いわゆる“イノベーションのジレンマ”を感じた経験を紹介した。

 MonotaROの安井氏はベンチャー企業では関わりを持てる領域が広いことを挙げた。領域の広さはベンチャー企業に必要なスピードの維持につながるとした。「インフラとアプリケーションが分かれるとスピードは遅くなる。過去の経験を生かして、両者を融合して考えるようにしている」と話した。

 安川氏は、企業の規模が大きくてもスピード感を維持できるとした。「過去に在籍したアマゾン ウェブ サービス ジャパンでは、(食事が)ピザ2枚で足りるチームの単位に区切って活動する“2枚のピザ理論”があった」。その経験を踏まえ、現在もスピードを維持できるチーム編成を意識しているという。

 競合企業との差異化について、大企業を競争相手として回答したのは、安川氏だ。「大企業には規模で負ける。いかにイノベーションを先に起こすかに注力している」(安川氏)。顧客との関係についても「期待以上」を目指しているとする。「顧客に言われたものを作るだけでなく、もっと大きなイノベーションで、もっといいことができるように意識している」(同)。