米Yahoo!の大量データ流出の影響で、米Verizon Communicationsによる同社中核事業の買収計画が見直される可能性があると、複数の海外メディアが報じている。

 VerizonのCraig Silliman法務顧問は現地時間2016年10月13日、「(買収計画に)重大な影響があると考える理にかなった根拠がある」と発言し、「Yahoo!がデータ侵害の全影響について我々に説明してくれることを期待している。影響が重大ではないと考えるならば、Yahoo!はそれを示す必要がある」の述べた。

 一方Yahoo!は、「我々は当社価値に対して確信があり、Verizonとの統合に向けて引き続き取り組む」とコメントした。

 両社は、VerizonがYahoo!の主力事業を約48億3000万ドルで買収することで最終合意したことを7月25日に発表した(関連記事:VerizonがYahoo!の中核事業買収を正式発表、約48億3000万ドル)。しかし、Yahoo!から5億人分以上の個人情報が流出していたことが9月に発覚。Yahoo!は2014年後半に不正なデータアクセスがあったことを認め、国家が関与するサイバー攻撃との見解を示した(関連記事:5億人以上の個人情報流出、Yahoo!に国家が関与するサイバー攻撃か)。

 一部のアナリストは、データ流出がYahoo!の事業に重大な影響を与えるとVerizonが判断した場合、合意が破棄される可能性があると指摘している(米Washington Postの報道)。英Reutersによると、合意書には、新たな事象により事業、資産、業績や財務状況などに好ましくない重大な影響が及ぶと考えられる場合、Verizonは合意を撤回できるとする条項が含まれている。

 英Financial Timesは、両社がデータ流出に対する措置について協議する中で、VerizonはYahoo!が合意前にデータ流出について知っていたのではないかと疑念を抱いていると報じている。関係筋の情報では、Verizonは買収額の値引き交渉を進める可能性が高いという。

 Verizonは、買収額を10億ドル値下げするようYahoo!に要求したと先週報じられ、今週前半には情報漏えいの影響について調査していることを明かしていた(米CNET)。

 またYahoo!を巡っては、今月初めに、米情報当局の要請に応じて電子メールサービス「Yahoo! Mail」の全受信メールを盗聴していたと報じられた(関連記事:米Yahoo!がメール利用者の全受信メッセージを監視か、「違憲」と非難の声)。同社は政府当局の要請により、カスタムなソフトウエアプログラムを構築し、数億件にのぼるYahoo! Mailアカウントの受信メールを監視していたという。