韓国Samsung Electronicsは現地時間2016年10月12日、新型スマートフォン「Galaxy Note7」の生産打ち切りの影響を理由に、同年第3四半期(2016年7~9月)の業績見通しを下方修正した。

 10月7日に発表した利益予想では、韓国採択国際会計基準(K-IFRS)に基づいた連結営業利益見通し(中間値)を約7兆8000億ウオンとしていたが、これを約5兆2000億ウオンに修正した。修正後の数字は前年同期の連結営業利益を約30%下回る。

 K-IFRSに基づく連結売上高予測(中間値)は、従来の約49兆ウオンから約47兆ウオンに引き下げた。これは、前年同期の売上高と比べ9%減となる。

 Galaxy Note7は8月19日にリリースされるとバッテリー過熱や発火などの不具合報告が相次ぎ、9月より世界で250万台を対象とする回収・交換プログラムが行われていた。しかし交換後の端末による発火事故が複数報告され、Samsungは10月11日にGalaxy Note7の恒久的な生産中止を決定した(関連記事:Samsung、「Galaxy Note7」の恒久的な生産中止を決定)。

 10月11日のSamsungの株価は8%以上も下落し、1日の下げ幅としては2008年以降で最大となった。10月12日にさらに約0.65%下げ、過去3日間で約10%低下している。

 Samsungは一連のトラブルの影響として営業利益見通しを2兆6000億ウオン(約23億ドル)引き下げたが、米Strategy Analyticsは「ブランドの信頼失墜やユーザー離れなどを考慮すると実際の損失規模を測るのは難しい」とした上で、Galaxy Note7関連の損失を100億ドル以上と推計している(米New York Timesの報道)。

 一方英Financial Timesは、Samsungが今回の損失を穴埋めするために、2017年3月のリリースを目指して次期スマートフォン「Galaxy S8」の開発を加速させるだろうとのアナリストの意見を紹介している。複数のアナリストは、メモリーチップとディスプレイパネルの好調に支えられ、Samsungの業績は第4四半期には成長軌道に戻ると見ている。

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