スマートフォンで作成・共有できる電子マニュアル作成ツールを提供するスタディストは2016年10月12日、マニュアルの内容をワンタッチで翻訳できる機能を追加した。外部の翻訳事業者と協業。利用者は電子マニュアルの画面から直接、翻訳料金の見積もり、発注、受領、検収を実施できる。インバウンド(訪日外国人)向け事業を手掛ける企業や外国人労働者を受け入れる企業の需要を見込む。

翻訳前後の電子マニュアルの例
翻訳前後の電子マニュアルの例
(出所:スタディスト、以下同)

 新機能「ダイレクト翻訳」を、同社の企業向けサービス「Teachme Biz」に追加した。同時に翻訳サービスのアーキ・ヴォイス、Gengoとそれぞれ協業。利用企業はどちらかの事業者を選び、翻訳先の言語や文字数に応じた翻訳料金を支払う。

 Teachme BizはPCやスマホなどで電子マニュアルを作成・共有できるクラウドサービスだ。利用者はスマホで写真を撮影し、文字や図形を記入。この作業を繰り返して、紙芝居のような要領で電子マニュアルを作れる。損害保険ジャパン日本興亜など、1100社が利用している。

見積もり画面の例
見積もり画面の例
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 新たな翻訳機能は、Teachme Bizから直接利用できる。利用者はまず翻訳事業者を選ぶ。アーキ・ヴォイスは事前に内容を聞き取って翻訳する「ハイクオリティプラン」を、Gengoは最速1時間程度で比較的安価に翻訳する「ハイスピードプラン」を、それぞれ提供する。Gengoは翻訳依頼や翻訳データをネット経由でやり取りするためのAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を公開しており、スタディストはこのAPIを使ってGengoへの翻訳機能を開発した。

 料金は基本料が1回の発注につき1万円。翻訳料はハイスピードプランが1文字当たり9円で対応言語は英、中、韓など6言語。ハイクオリティプランの翻訳料は言語によって異なり、英語が同13円、中国語が12円などで、まず12言語の翻訳が可能。スタディストは基本料金のほか、翻訳料金の一定額を受け取る(ハイスピードプランの場合で同2円など)。

訪日客と外国人労働者の増加に対応

 同社が利用を想定する企業の一例が、訪日外国人の増加に伴うサービス業や接客業。ホテルの客室にタブレットを設置し、設備の使い方やルームサービスの頼み方などを説明した電子マニュアルの翻訳などだ。

 外国人労働者の受け入れ拡大に伴う、従業員向けマニュアルの翻訳需要も見込む。政府は働き方改革の一環として、介護や建設、農業など人材不足が懸念される分野で外国人労働者の受け入れ拡大や解禁を検討する。スタディストはこうした動きが、電子マニュアルの翻訳需要を後押しするとみている。