米IBMは現地時間2016年10月11日、がんを患っている同社従業員の闘病支援にコグニティブコンピューティング技術「Watson」を活用するプログラムを発表した。医療関連情報サービスや医師評価制度を手がける米Best Doctorsと協力し、2017年1月1日より実施する。

 同プログラムでは、がんを患う米国従業員が、Watsonを通じて医療や治験について適切な情報を取得し、今後の治療の判断に役立てられるようにする。IBMの米国保険制度に加入している従業員を対象とする。

 患者の許可を得た上でBest Doctorsチームが医療記録を収集し、関連データをWatsonにフィードする。Watsonはこれらデータを医療専門誌の情報や論文などと照らし合わせて解析し、レポートを生成する。Best Doctorsネットワークの著名な腫瘍学専門家がレポートを確認し、最終的な判断を患者および担当医に提供する。

 同プログラムは、「Watson for Oncology」「Watson for Clinical Trial Matching」「Watson for Genomics」といったサービスで構成される。

 Watson for Oncologyは、乳がん、肺がん、大腸がん、胃がんに関する根拠に基づく医療を臨床医に助言する。Watson for Clinical Trial Matchingは、患者と関連する治験のマッチング判断を支援する。Watson for Genomicsは、患者の腫瘍の遺伝子プロファイルを分析し、発がん性のある変異に関する情報を臨床医に提供する。

 米メディア(Fortune)の報道によると、IBMは世界で37万7000人の従業員を抱えるが、そのうち米国の従業員がどれくらいで、何人が同プログラムの対象になるか明らかにしていない。

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