ガートナー ジャパンは2016年10月5日、東京・品川で開催した「Gartner Symposium/ITxpo 2016」において、「CIOアジェンダ2017」と題するセッションを実施。2017年に向けて企業のCIOがとるべき行動指針を示した。米ガートナー リサーチ部門バイスプレジデントのアンディ・ラウゼル・ジョーンズ氏は、「デジタル・エコシステムによって新たな価値が生み出される時代になった」と切り出した。

米ガートナー リサーチ部門バイスプレジデントのアンディ・ラウゼル・ジョーンズ氏
米ガートナー リサーチ部門バイスプレジデントのアンディ・ラウゼル・ジョーンズ氏
(撮影=下玉利 尚明)
[画像のクリックで拡大表示]

 同氏は、米アップルを引き合い出し、iPhoneの製造と販売にハードウエアメーカーやデバイスメーカーが関係していることに触れながら、「iPhoneを購入すると数万円はするが、そのハードウエアそのもの価値は数千円だろう。数万円という価値は『製品』から生まれているのではない。エコシステムの中から生み出されているのだ」と語った。そして、「情報、技術、サービス、製品など、それらが相まって新たな価値を生み出す時代になった」と、デジタル・エコシステムの重要性を強調した。

デジタル・エコシステム構築の3要素とは

 ジョーンズ氏は、全世界のCIOを対象に実施した調査をもとに、企業におけるIT予算の動向を示した。それによると、IT予算の伸び率は全世界の企業の平均が2.2%で、アジア・太平洋地域が平均4.3%、日本企業が平均2.2%だったという。

 IT予算がわずかずつではあるが増加傾向にあることについて「良い傾向にある」(同氏)としながらも、「多くの企業にとって、デジタル・エコシステムを構築するために正しくIT予算を割り振っているかが問題だ」と指摘した。

 さらに、日立コンサルティング、スウェーデンのボルボなど8社を対象に実施した調査から、「デジタル・エコシステムを成功させるための3つの要素」として「相互運用性」「外向き志向」「相互依存性」を示した。相互運用性のあるプラットフォームを「デジタル・コア」として拡張していくこと、デジタル・エコシステムに対応した組織を構築するための人材やスキルを外部に求める外向き志向、そして相互依存の関係性の中でリーダーシップを発揮することが重要という。

 「3つの要素を組み合わせ、デジタル・エコシステム構築に照準に合わせれば、『エスケープ・ベロシティ』による急激な成長を実現できる」と述べた。