米Facebookは無料インターネットサービス「Free Basics」を米国で提供することを目指し、米政府当局職員や無線キャリアなどと協議していると、米Washington Postが現地時間2016年10月6日に報じた。

 Free Basicsは、世界のインターネット普及促進を目指してFacebookが中心となって発足した「internet.org」のプロジェクトの1つ。テキストのみ表示する軽量Facebookや、一部のニュースサイト、検索エンジン「Bing」といった基本的なインターネットサービスへのアクセスを無料で提供する。米Ars Technicaによると、現在、アフリカを中心に40カ国以上で展開されている。

 インドでも現地通信事業者と提携してFree Basicsを提供していたが、2016年2月にインド電気通信規制庁(TRAI)が新たな規則を制定したことによりサービス停止に追い込まれた(関連記事:Facebookの「Free Basics」がインドから撤退、当局の新規則受け)。新規則は、サービスプロバイダーがコンテンツに応じて異なるデータサービス料を適用すること、差別的データサービス料を提供するための取り決めや契約を結ぶことを禁止している。

 Free Basicsはアクセスできるコンテンツやサービスが限定されているため、ネット中立性の原則を侵害しているとの批判の声も上がっていた。エジプトでもインドと同様の事態に直面しているという(米The Vergeの報道)。

 Facebookはインドでの苦い経験を繰り返さないために、米国では数カ月前から交渉を行い、慎重に準備を進めているようだ。米国向けFree Basicsは、自宅あるいはスマートフォンで十分な高速インターネット通信を使用できない低所得層や、高速インターネット環境が整っていない地域を対象にする。提供するコンテンツおよびサービスはまだ決定していない。