富士通がパソコン事業を、中国レノボ・グループと統合する検討に入ったことが分かった。日本経済新聞が2016年10月6日朝刊で報じた。富士通広報は「現時点で具体的な時期などは決定していないが、選択肢のうちの一つ」としている。

 富士通のパソコン事業は主力ブランドの「FMV」で、2015年度の出荷台数は国内・海外合わせて約400万台。市場の縮小を受けて、同年度は約100億円〜200億円の赤字だった。

 2016年2月には、富士通本体から切り離し、100%子会社の富士通クライアントコンピューティングを設立している。従業員数は約900人で、生産拠点は福島県伊達市と島根県出雲市の工場。富士通は「ブランドや工場拠点は残して、今後事業を展開したいと考えている」とする。

 なお、富士通は10月6日午前9時前に報道資料にて「パソコン事業に関する報道は当社が発表したものではない」とコメント。「本年2月にパソコン事業を分社化し、現在、分社化後の事業成長に向け、本件を含めて、様々な可能性を検討しておりますが、決定しているものはありません」としている。

 MM総研(東京都港区)によると、2015年度(2015年4月~2016年3月)の国内パソコン出荷台数は前年同期比21.4%減の990万6000台と大幅な縮小傾向に歯止めがかからない。そのなかで富士通のシェア(出荷台数ベース)は17.2%で2位。27.1%のシェアを誇る1位のNECレノボとの統合が実現すると、国内シェアの4割近くを握ることになる。