電通は2016年9月23日、インターネット広告などのデジタル広告サービスに関して不適切な業務があったとする問題について会見し、社内調査で判明した規模や金額を発表した。調査対象1810社、約20万件のうち、9月22日までに分かった不適切業務の可能性がある案件は疑義のある作業案件が633件、対象となる広告主数が111社。不適切な部分に相当する金額は約2億3000万円。未掲載による架空請求は14件、320万円。電通は年内に全容を解明し、再発防止策を発表するとしている。

 会見した電通によれば、不適切業務に関与したのは同社と国内グループ会社の一部。発端となったのは人為的なミスで、複数人が故意のレポート改ざんなど不正へ関与したという。

 対象の広告は大量のネット利用履歴データなどを使ってPCやスマホに配信する「運用型」をはじめとした、デジタル広告だ。同広告について、「故意または人為的なミスに基づく広告掲載期間のずれ、未掲出、運用状況や実績に関する虚偽の報告」があった。実態とは異なる請求書による、過剰請求も確認されたという。

 同社は8月に社内調査チームを設置し、実態調査を進めてきた。調査は対象の取引実態の解明に必要な請求データが保存されている、2012年11月以降のデジタル広告サービス全般を対象に実施。データや書類の照合、対象業務に従事した従業員への聞き取り、業務フローの検証を実施している。