イーソルは2016年9月21日、組み込みシステム向けオープンソースのロボット制御フレームワーク「ROS(Robot Operating System)」を適用するエンジニアリングサービス事業を開始したと発表した。車載機器・医療機器・ヘルスケア製品・家電製品・娯楽機器などのロボット以外の市場でのロボット技術の適用を容易にし、製品化および市場への製品投入期間の短縮に貢献する。

 ROSは、米Willow Garage社が中心となって開発したオープンソース(OSS)のロボット用アプリケーションフレームワーク。ノード同士の通信機能、シミュレーション・経路計画・可視化・ロギングなどの開発ツール、豊富なロボティクス向けライブラリ、ユーザーコミュニティによるエコシステムを提供する。

 ロボット制御に最適な分散システムの構築に適した設計で、アルゴリズムの変更を柔軟かつ容易に行える。 一方、ROSの標準OSは、PC環境を想定してUNIX系OSのUbuntuを採用したため、組み込みリアルタイムOSと比べてオーバーヘッドが大きくリアルタイム性の確保が難しい、OSSのため品質保証が商用と比べて十分でないなど、組み込みシステムへの適用には課題も多く残る。

 イーソルでは、ROSをμITRON仕様準拠リアルタイムOS「PrKERNELv4」やメニーコアプロセッサにも対応したリアルタイムOSに移植した実績を持つ。これらの豊富なノウハウや知見を基に、ユーザーが小規模な組込み機器でROSの豊富な機能を利用できるように支援する。

 これまでに車載機器開発環境におけるCANドライバー対応やPoint Cloud(点群)の補正・フィルター処理、ROSが提供するrviz、rosbagツールのカスタム、産業用ロボット実験環境の構築に向けたWindows搭載PCとROSのブリッジ機能、ヒューマノイドロボット技術に関する調査の中で実施したROSとOpenRTM-aistのシミュレーター連携など、さまざまな分野での開発実績がある。

 同社が東京コンファレンスセンター(東京・品川)で9月27日開催するプライベートショー「eSOL Technology Forum2016『IoT時代のソフトウェアプラットフォーム』」にて、組み込みシステムへのROS移植事例をデモを交えて紹介する。

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