ロードバランサーなどのネットワーク製品を扱うF5ネットワークスジャパンは、2016年9月16日、「企業のパブリッククラウドシフトとF5が果たす役割~ハイブリッドクラウド時代における、クラウド活用に伴う課題と解決策~」と題した報道関係者向け勉強会を開催した。講師は、同社でパブリッククラウドの立ち上げを担当している営業企画 ビジネスディベロップメントマネージャの帆士敏博氏。この勉強会は、企業への独自訪問調査をベースに取りまとめたものである。

F5ネットワークスジャパン 営業企画 ビジネスディベロップメントマネージャの帆士敏博氏
F5ネットワークスジャパン 営業企画 ビジネスディベロップメントマネージャの帆士敏博氏
(撮影:大類 賢一、以下同じ)
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マルチクラウド化が進み、アプリケーションのデプロイ環境が多様化する

 最初に帆士氏は、「マルチクラウドが一般化し、パブリッククラウドで稼働するアプリケーションが増大する」と指摘した。日本企業では、オンプレミスにアプリケーションがあり、それを残したまま、クラウドの利用へと移っていくことが多い。

現在はプライベートクラウドの比率が高いが、今後はパブリッククラウドが高まっていく
現在はプライベートクラウドの比率が高いが、今後はパブリッククラウドが高まっていく
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 パブリッククラウドの利用では、AWS(アマゾン ウェブ サービス)が半数を占め、Microsoft Azureが2割、複数のパブリッククラウドを併用するマルチクラウドが2割、使わないが1割という状況だという。帆士氏は、「当初はAWSが先行していたため、IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)をクラウドで使うとなればAWSという状況だった。しかしAzureが登場し、利用企業も増えてきた。今後は併用するマルチクラウドが増える。今の日本の法人市場は、マルチクラウドの夜明け前。これからの1年で進む」と、説明した。

複数のIaaSを併用するマルチクラウド化へのシフトを予測
複数のIaaSを併用するマルチクラウド化へのシフトを予測
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 一方で、帆士氏は懸念される点も挙げた。

 クラウドは、利用する現場部門が手軽にインフラを選びやすいという特長がある。かつてはITインフラを用意するのは情報システム部門と決まっていたが、クラウド利用となると、どのクラウドインフラを使うかを決めるのが現場部門であることも少なくない。結果として企業ではクラウドインフラの乱立が増える。