エーティーワークス(A.T.WORKS)は2016年9月15日、ファイルを秘密分散技術を用いて三つに分割し、それぞれを国内のクラウド事業者が提供しているオブジェクトストレージに保存するゲートウエイ機器「Store-Box Air」を発表した。9月28日から提供する。価格(税別)は、オブジェクトストレージ3社分の利用料を含んで月額2万8000円(バックアップ容量100Gバイト)から。初期費用は3万円。

Store-Box Airの概要
Store-Box Airの概要
(出所:エーティーワークス)
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 Store-Box Airは、イノベーション・ファームが開発した秘密分散ソフト「分散PortKey」を、Linuxを搭載した小型パソコン「QBOX-210S」(台湾クアンマックス製)の上にプリインストールしたアプライアンス機器である。国内3社のオブジェクトストレージ(IDCフロンティア、さくらインターネット、ニフティ)にデータを分割保存する設定が施してあり、オブジェクトストレージの利用料をセットにして提供する。

Store-Box Airの外観(台湾クアンマックスのQBOX-210S)
Store-Box Airの外観(台湾クアンマックスのQBOX-210S)
(出所:台湾クアンマックス)
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 サーバーなどからは、Store-Box Airをオブジェクトストレージとして利用する。Store-Box Airに対してHTTP/HTTPSでファイルを出し入れすると、Store-Box Airの内部で秘密分散技術によって3分割され、国内3社のオブジェクトストレージに保存される仕組み。ファイルサーバーのバックアップ用途などに適する。さらに、エンドユーザーが対話型でファイルを出し入れするための専用のWeb画面も提供する。

 Store-Box Airが備える秘密分散技術の特徴は、情報の秘匿性と冗長性を両立させていることという。三つに分割した欠片のうち一つが漏えいしても、その欠片から原本を復元することはできない。一方、システム障害などによって三つの欠片のうち一つが失われても、残りの二つの欠片がそろえば原本を復元できる。

 A.T.WORKSは、秘密分散技術を採用した別製品として、NASヘッド機器の「Blessta(ブレスタ)」も提供している(関連記事:A.T.WORKS、秘密分散法で情報漏えいを防ぐNASヘッド装置)。Store-Box Airとは秘密分散技術のエンジンソフトが異なっており、すべての欠片がそろわない限り復元できない仕様となっている。