NECは2016年9月13日、SAP ERPを利用して構築している自社グループの基幹業務システムにおいて、データベースサーバーを「SAP HANA」へと刷新したと発表した。SAP HANAは2016年5月から国内向けシステムで稼働しており、海外拠点向けを含め2016年11月を目途にグループ全システムで稼働する予定である。

 NECは2010年から、SAP ERPベースの基幹業務システムをクラウドサービスとして自社グループ向けに提供している。2015年7月には、SAP HANA導入に向けた社内プロジェクトとして、新たなシステム基盤を構築した。NECのサーバー「NX7700xシリーズ」とストレージ「iStorage」、クラスタリングソフト「CLUSTERPRO X」、SDN製品「UNIVERGE PFシリーズ」、VMware仮想基盤などを活用している。新システム基盤では、以前と比べて物理サーバーを70%削減した。

 2016年5月には、SAP ERPのデータベースサーバーソフトを、既存のMicrosoft SQL ServerからSAP HANAへと置き換えた。これにより、受注・売上計上や債券消込など日々のオンライン処理を高速化して生産性を向上させたとしている。さらに、グループ各社の処理を高速化することによってグループ全体の会計情報を早期に把握できるようにするなど、経営判断・業務判断のスピードを高めたとしている。SAP HANAの導入によって、データ量も4分の1に圧縮したという。

 今後は、SAP ERPを、SAP HANA専用で新バージョンに当たるSAP S/4 HANAへと入れ替える予定である。また、IaaS型クラウドサービス「NEC Cloud IaaS」で採用している運用自動化技術や運用ノウハウを活用することによって、保守工数などのシステム運用コストを25%削減するとしている。