米HP Inc.と韓国Samsung Electronicsは現地時間2016年9月12日、HP Inc.がSamsungのプリンター事業を10億5000万ドルで買収することで最終合意したと発表した。1年以内に手続きを完了する見込み。

 HP Inc.は同買収によりビジネス向け複合機市場での地位強化を図る。一方Samsungは、プリンター事業を手放すことで中核事業に注力する。

 Samsungは、株主の承認を得た上で11月1日にプリンター事業部門を分離独立させ、その全株式をHP Inc.に売却する。海外にある関連資産もHP Inc.に譲渡する。同部門は中国を生産拠点とし、世界50カ所以上にオフィスを持ち、約6000人の従業員を抱える。2015年の売上高は2兆ウオン(約18億ドル)だった。

 HP Inc.は、6500件以上のプリンター関連特許と、レーザープリンターの専門知識を持つ約1300人の研究者およびエンジニアを含む人材も獲得することになる。モバイルやクラウドに対応したSamsungのA3複合機のポートフォリオと、HP Inc.のビジネス向けプリターブランド「PageWide」を統合し、優れたセキュリティ機能を備えた革新的な出力ソリューションを提供するとしている。

 HP Inc.は昨年11月の米Hewlett-Packard(HP)の分社化により誕生し、HPのパソコンおよびプリンター事業部門を受け継いだ(関連記事)。なおHPの法人向け事業は米Hewlett Packard Enterprise(HPE)に引き継がれている。

 Samsungは、手続き完了後に公開市場での株式購入を通じてHP Inc.に1億~3億ドル相当の投資を行うことでも合意した。

 またSamsungは、2年以上前から闘病生活を送っているKun-hee Lee(李健熙)会長の長男であるJay-yong Lee(李在鎔)副会長が取締役に就任することも明らかにした。

[発表資料(HP Inc.のプレスリリース)] [発表資料(Samsungのプレスリリース)]