米Amazon.comが競合の米eBayから人工知能(AI)の専門家を引き抜いたと複数の海外メディア(米GeekWire米CNET)が現地時間2016年9月2日までに米Wall Street Journalの記事を引用して伝えた。

 それによると、Amazon.comが雇い入れたのはHassan Sawaf氏という人物。同氏はすでに、米カリフォルニア州パロアルトにあるAmazon.comの商品検索/検索広告事業子会社A9.comで、AI部門ディレクターの役職に就いている。また同氏のLinkedInプロフィールによると、その職務の目的は、Amazonの全製品、全事業にわたる検索機能のユーザーエクスペリエンスを向上させることだという。

 Amazon.comには、AIを使った音声アシスタントサービス「Alexa」とそれを利用できるスピーカー端末「Amazon Echo」「Amazon Tap」「Echo Dot」があり、同社はAIの分野に力を入れているとWall Street Journalは伝えている。

 またAmazon.comは自動車大手の米Ford MotorやWi-Fi対応サーモスタットを手がけるカナダecobeeなどと提携し、Alexaをさまざまな機器と連携させる取り組みも進めている。先ごろはパソコンなどの機器にAlexaを搭載することに関し、Amazon.comと中国Lenovo Group(聯想集団)が協議したとも伝えられた(関連記事:Amazonがプラットフォーム戦略強化、アシスタント端末や自動注文などAmazonの音声アシスタント「Alexa」、Lenovoのパソコンに搭載か?)。

 Sawaf氏は2013年にeBayに入社し、機械翻訳、ヒューマンランゲージ技術、コグニティブコンピューティング、AIのシニアディレクター職などを務めてきた。Wall Street Journalによると、同氏はヒューマンランゲージ技術やパターン認識の分野で約20年にわたる経験を持ち、2カ国語機械翻訳システムの技術に関する特許を取得しているという。