米IDCが現地時間2016年9月1日までにまとめた最新の世界スマートフォン市場リポートによると、同年における年間出荷台数は約14億6000万台となった。2015年からの伸び率は1.6%にとどまる見通し。

 IDCは今年6月に公表したリポートで、2016年における年間出荷台数の前年比伸び率が3.1%になると予測していたが、今回のリポートでこれを下方修正した。スマートフォン出荷台数の伸び率は2014年には30%近く、2015年は約10%と推移してきたが、今年はこれらから著しく低下するという。

 同社はその理由として、先進国市場の低迷を挙げている。2020年までの5年間における出荷台数の年平均成長率(CAGR)は新興国市場(日本を除くアジア太平洋地域、中・東欧、中東およびアフリカ、中南米)が5.4%で推移するのに対し、先進国市場(米国、カナダ、日本、西欧)はマイナス0.2%になると同社は予測する。

 IDCのシニアリサーチアナリストJitesh Ubrani氏によると、スマートフォン市場は急速に既存ユーザーの買替え需要への依存度が高まりつつあるという。その一方で技術革新は停滞気味で、消費者はある程度の性能を備えるスマートフォンで満足するようになっている。そうした中、メーカーや通信事業者は下取りプログラムなどを実施し、販売促進と買い替え周期の短縮を図っている。

 またファブレットと呼ばれる画面サイズの大きなスマートフォン(5.5インチ以上)は今後も引き続き伸び、その出荷台数比率は現在の約4分の1から、2020年には3分の1にまで拡大すると同社は予測する。ただし今後は米Appleや韓国Samsung Electronics、韓国LG Electronicsなど大手の旗艦モデルだけでなく、さまざまなメーカーからより低価格の「旗艦モデルタイプ」が市場投入されるという。

 これにより、2015年時点で419ドルだったファブレットの平均販売価格(ASP)は2020年には304ドルと、約27%低下する。これに対し5.4インチ以下の端末は264ドルから232ドルと、約12%の低下にとどまるという。

 同社が予測する2016年のOS別出荷台数シェアは、Androidが85.3%、iOSが13.9%、Windowsが0.5%。これが2020年にはそれぞれ、85.7%、14.2%、0.1%になると同社は予測している。

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