米Amazon.comは現地時間2016年8月31日、ボタンを1回押すだけで商品の注文が完了する「Dash Button」のサービスを英国、ドイツ、オーストリアで開始したことを明らかにした。Dash Buttonはこれまで米国のみで提供してきたが、今回初めて海外展開する。

 Dash Buttonはチューインガムほどの大きさの機器で、それぞれに異なる商品ブランドがプリントしてある。スマートフォン用アプリで商品種の詳細と数量をあらかじめ指定し、本体前面のボタンを押すと、その商品が2日後に届くという仕組み。Amazonは昨年3月末からこの機器を使った商品配送サービスを米国の「Prime」メンバーを対象に提供していた。

 今回同社は、英国でDash Buttonを1つ4.99ポンド(約677円)、ドイツとオーストリアでは同4.99ユーロ(約574円)で販売する。ただし米国のサービスと同様に、Dash Buttonを使って商品を購入した顧客には機器の代金を払い戻すため、実質無料となる。

 英国では同日から、洗濯洗剤やティッシュペーパー、かみそり刃、カプセルコーヒー、ドッグフードなど約50種類のDash Buttonの提供を開始した。同社は今後順次その種類を増やしていくと説明している。

 またAmazonは、これまで米国のみで提供していた消耗品自動注文サービス「Dash Replenishment Service(DRS)」を英国とドイツでも始めたことを明らかにした。こちらは商品の再注文を機器が自動で行う仕組み。DRSに対応した機器は、消耗品の残量や使用期限を感知するセンサーなどを組み込んでおり、その補充時期や交換時期が近づくとAmazonに自動注文する。

 米国ではブラザー工業や韓国Samsung Electronicsのプリンター、ドイツBritaのポット型浄水器、米August Homeの電子錠、米Whirlpoolの洗濯機と乾燥機などがDRSに対応している。新たに同サービスを始めたドイツではSamsungのプリンターのほか、ドイツBSH Hausgerateの家電製品、京セラのレーザープリンターと複合機などがDRSに対応した。

[発表資料(英国)]
[発表資料(ドイツ)]