NECと三井住友銀行(SMBC)が共同で設立したブリースコーポレーション(渋谷区、以下brees)は2016年8月31日、コンビニバーコードをスマートフォン画面に表示する仕組みによってコンビニ収納をペーパーレス化する新サービスを発表した()。コンビニ店舗のシステム改修などの準備期間を経て、2017年2月から3月をめどに提供を開始する。

図●コンビニバーコードをスマートフォン画面に表示してコンビニ収納をペーパーレス化する
図●コンビニバーコードをスマートフォン画面に表示してコンビニ収納をペーパーレス化する
(出所:NEC、三井住友銀行)
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 コンビニ収納システムは現状、コンビニバーコード(1段、44桁固定長)が印刷された紙ベースの請求書を、POS(販売時点情報管理)端末に接続されたバーコードスキャナーで読み取り、現金などによって支払っている。コンビニバーコードには、支払い金額のほか、請求書を発行した事業者のコードや支払い期限日などの情報が含まれている。

 今回breesが発表した新サービスは、現状のコンビニ収納プロセスをペーパーレス化する。具体的には、コンビニバーコードのコード形式をそのまま使いつつ、スマートフォン画面にコンビニバーコードを表示することによって、コンビニバーコードが印刷された紙ベースの請求書を使わなくてもコンビニでお金を支払えるようにする(写真1)。

写真1●スマートフォン画面にコンビニバーコードを表示させ、コンビニのバーコードスキャナーで読み取る
写真1●スマートフォン画面にコンビニバーコードを表示させ、コンビニのバーコードスキャナーで読み取る
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写真2●スマートフォンアプリで請求書を管理できる。支払い期限が近い請求を通知する機能も備える
写真2●スマートフォンアプリで請求書を管理できる。支払い期限が近い請求を通知する機能も備える
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 新サービスのポイントは「スマートフォン画面にコンビニバーコードを表示するための新技術」(NEC執行役員常務の西村知典氏)にある。コンビニバーコードは44桁と情報量が多いので、これまではスマートフォン画面にバーコードを表示させても、正しく読み取ることが難しかった。今回の新サービスでは、カラー表示を応用するといった技術上の工夫によって、スマートフォン画面でもスキャナーで正しく読み取れるようにしたという。

 お金を支払う消費者が使う専用のスマートフォンアプリケーションの使い勝手も高めた(写真2)。アプリ上で複数の請求書を管理して持ち歩ける。請求書が発行されると、リアルタイムにバーコードが通知される。支払い期限が近付いた請求についてアプリケーション内でリマインド通知することも可能である。

 brees代表取締役社長の佐藤洋史氏は、「現状の紙ベースのコンビニ収納が抱えている課題を解決できる」とアピールする。

 消費者から見ると、紙の請求書は持ち歩くことを忘れがちで、支払い期限も忘れがち。新サービスなら、スマートフォンさえ持っていればいつでも支払えるほか、期日管理と通知によって払い忘れがなくなる。一方、請求書を発行する事業者から見ると、紙ベースの請求書を印刷して郵送するコストを抑制できる。コンビニエンスストアから見ると、請求書の処理や管理の負担が減る。

 ブリースコーポレーションのビジネスモデルは、コンビニバーコードの処理トランザクション当たりの手数料を徴収するというもので、2020年までの累計で黒字化を目指す。コンビニ収納の市場規模は、2014年時点で9億件および9.38兆円。年平均4%で成長しており、2020年には13兆円規模になる。「2020年時点で、コンビニ収納システム全体のうち20%のシェア、年間2兆円の取引額を目指す」(佐藤氏)としている(写真3)。

写真3●写真左から、三井住友銀行で取締役兼専務執行役員を務める太田純氏、ブリースコーポレーションで代表取締役社長を務める佐藤洋史氏、NECで執行役員常務を務める西村知典氏
写真3●写真左から、三井住友銀行で取締役兼専務執行役員を務める太田純氏、ブリースコーポレーションで代表取締役社長を務める佐藤洋史氏、NECで執行役員常務を務める西村知典氏
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