「信念・志・パッション。これらが業務改革を進める上で最も重要」。

 住宅設備大手のLIXILの小和瀬浩之CIO兼情報システム本部長(写真)は2016年8月30日、東京・目黒の目黒雅叙園で開催された「イノベーターズセミナー」(日経BP社 日経ITイノベーターズ主催)で講演し、こう語った。講演タイトルは「ITシステムの世界統一、強い推進チームの作り方」だ。

「イノベーターズセミナー」(日経BP社 日経ITイノベーターズ主催)で講演するLIXILの小和瀬浩之CIO兼情報システム本部長
「イノベーターズセミナー」(日経BP社 日経ITイノベーターズ主催)で講演するLIXILの小和瀬浩之CIO兼情報システム本部長
撮影:井上 裕康
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 プロCIOとして花王からヘッドハンティングされた小和瀬氏。現在は、全世界で業務システムを統一する「L-One」プロジェクトを指揮している。300億円を投じ、SAP製ERP(統合基幹業務システム)パッケージをベースに世界標準の業務システムを構築する。ITシステムを使って業務を標準化し、合理的にITコストを下げ、グローバル競争に打って出る。

 トステム、INAX、新日軽など5社が合併してできたLIXILで、小和瀬氏はIT部門、事業部門、外部のIT企業を巻き込み、どのようにして強いチームを作るのか。小和瀬氏が前職の花王時代から一貫して大切にしてきたことが冒頭のコメントにある「信念・志・パッション」だ。

 小和瀬氏は「チームワークを形成するには“公”の視点が必要。個人や自分の所属する部署のためではなく、会社全体や日本のために何をすべきかを考える。本気でその信念を伝えれば、賛同する人が自ずと増えてくる」と語る。

 ただし、精神論だけでは不十分。「本質を追求し、なぜそのように業務を変えなければならないかを説明できるよう、理論武装する」と小和瀬氏は言う。「特に、外国人とチームを作る際には理由付けが重要。日本人同士のように、あうんの呼吸が通用しない」(同)。

 業務改革に反対する者への対処法についても言及した。「反対するのは、業務が変わることで何らかの問題が生じるため。その問題の解決策を相手の立場になって一緒に考える。解決策をいくつも提案すれば、そのうち、『これでいいよ』と言ってくれるものだ」(小和瀬氏)。

 講演の後は質疑応答タイム。出身企業の異なるメンバーを束ねるために伝えていることや、具体的な業務変革のエピソードなどを披露した。