富士ソフトは2016年8月30日、日本食研ホールディングと共同で、AI(人工知能)を活用した商品販売予測の有効性について検証したと発表した。日本食研ホールディングにおける週ごとの売上予測と実績を比較したところ、414商品のうち全体の40%に当たる156商品で誤差が1割未満となった。

 検証では、2014年までの過去5年間分の売上データと、個々の商品の売上に影響を及ぼす天気/外気温データおよびイベントカレンダー情報を、機械学習を利用して回帰分析した。こうして得られたモデルを元に、2016年4月から7月にかけて、1週間ごとの商品の売上を予測し、実績値と比較した。予測には、公開されている天気予報データとイベントカレンダー情報を利用した。

 機械学習を使わない場合、予測と実績の誤差が1割未満に収まった商品は、414商品のうち6商品だけだった。機械学習の活用によって、これを全体の40%に当たる156商品にまで増やすことに成功した。さらに、誤差が3割以上に広がった商品は352商品あったが、これを167商品にまで減らすことに成功した。予測精度が上がることによって、製造過多による廃棄ロスを削減したり、在庫切れによる機会損失を削減したりできるようになる。

 データの分析基盤として、Microsoft Azure上で動作する米マイクロソフトの機械学習サービス「Cortana Intelligence Suite」を利用した。Azure Machine Learningによる回帰分析に、独自の分析手法などを組み合わせ、予測精度の向上を図ったという。いまだに予測と実績の誤差が大きい商品に関しては、社内SNSや営業日報などの現場の声や、機械学習の手法を取り入れた傾向分析を追加で行いながら、さらなる精度向上を図っていくとしている。