米Intelは2016年8月30日(米国時間)、PC向けの「第7世代Coreプロセッサー」の製品ラインアップを発表した(図1)。「Kaby Lake」の開発コード名で呼ばれていた製品で、9月に出荷を開始する。製造プロセスは14nm、マイクロアーキテクチャーは「Skylake」で、いずれも第6世代と同じ。今回新たに高速に処理できる4K動画のコーデックを増やした。

図1●第7世代Coreプロセッサーのイメージカット
図1●第7世代Coreプロセッサーのイメージカット
出典:米Intel
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 Intelは2016年3月に発表した年次報告書(アニュアルレポート)で、従来の「チックタック戦略」を終了すると発表している。チックタック戦略とは、PC向けの主力CPUにおいて、マイクロアーキテクチャー(内部設計)と製造プロセスを1年ごとに交互に刷新する戦略のこと。2015年に発表した第6世代Coreはマイクロアーキテクチャーを刷新し、2014年に発表した第5世代Coreは製造プロセスを14nmに縮小していた。

 Intelは今後、「チック」に相当する「製造プロセスの縮小」と、「タック」に相当する「マイクロアーキテクチャーの刷新」に加えて、「最適化」も実施するとしている(図2)。第7世代Coreは、この「最適化」に該当する新製品。製造プロセス、マイクロアーキテクチャーのいずれも変更しない、マイナーアップデートになった。

図2●チックタック戦略から3段階モデルへ
図2●チックタック戦略から3段階モデルへ
出典:米Intelの2015年度年次報告書
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 今回発表したのは、ノートPC向けの「Yシリーズ」(TDPは4.5W)が3製品と「Uシリーズ」(TDPは15W)が3製品で、合計6製品。いずれも2プロセッサコア、4スレッドの製品となる(図3)。Yシリーズの型番は「Core i7-7Y75」「Core i5-7Y54」「Core m3-7Y30」で、Uシリーズは「Core i7-7500U」「Core i5-7200U」「Core i3-7100U」の3製品。1000個ロット時の卸価格は、Core i7の2製品がいずれも393ドル、Core i5/i3/m3の残り4製品はいずれも281ドルである。

図3●第7世代Coreプロセッサのダイレイアウト
図3●第7世代Coreプロセッサのダイレイアウト
出典:米Intel
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 第7世代Coreでは、ハードウエアによってエンコードやデコードを高速化できる4K動画のコーデックを増やした。新たに対応したのは、「4K HEVC 10-bit」コーデックのデコードとエンコード、「VP9 10-bit」コーデックのデコードである。

 第6世代Coreで追加した省電力機能「SpeedShift Technology」も改善した。SpeedShift Technologyは、プロセッサの動作周波数を動的に変えることで消費電力を削減する機能。第6世代に比べてより短い時間で、最大の動作周波数に到達できるようにした。具体的には第6世代では最大の動作周波数に達するまでに30ミリ秒以上かかっていたのを、第7世代では15ミリ秒にまで短縮した。