内閣官房は2016年8月23日、マイナンバー制度の「マイナポータル」で利用できる電子申請や公金決済サービスについての調達仕様書案を公開し、9月13日まで意見招請の募集を行うと公表した。マイナポータルの本格稼働や、電子申請と公金決済サービスの開始は2017年7月を予定している。

 調達仕様書案によると、開発手法としてアジャイル開発を採用し、実際に動くシステムを用いて発注者の要件を迅速に反映しながら開発することを条件としている。また、利用者やサービス提供機関が参加する総合運用テスト(仮称)を2017年4月ごろに行ってフィードバックを得ることも求めている。政府が発注するシステムでアジャイル開発などを要件とするのは珍しいとみられる。

 仕様書案では、マイナポータルでは利用者が行政機関や公益性の高い民間企業に対する申請・受理などの手続きを行えるようにする。まずは子育て分野で児童手当てなどの手続きをオンライン化する「サービス検索・電子申請機能」を構築して、将来的には引越などのライフイベントの際に必要となる手続きに順次拡大する想定という。

 マイナポータルの利用者はフリーワードや年齢、居住地などの情報をもとに対象サービスを検索し、行政機関や民間企業への申請ができるようにする。そのためサービス検索・電子申請機能には、給付金の受領などの際に必要となる外部サービスなど、様々なサービスと連携を考慮したプラットフォームを構築する予定という。

 また、「公金決済サービス」も構築する計画だ。利用者がマイナポータルのお知らせ情報として表示されている納付情報のURLをクリックすることで、外部の電子決済機能を利用して電子的な公金決済を実現するという。領収証書の通知の閲覧やダウンロードもできるようにする。

 サービス検索・電子申請機能や公金決済サービスは、民間のクラウド上に構築する。スマートフォンのアプリやパソコンのブラウザー、テレビ、コンビニエンスストアのキオスク端末での利用も想定している。