特別授業に参加した高校生たち。地元住民の不満に共感するため、具体的な人物像を決めてどんな生活をしているかを話し合っている
特別授業に参加した高校生たち。地元住民の不満に共感するため、具体的な人物像を決めてどんな生活をしているかを話し合っている
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 SAPジャパンは2016年8月23日、福島県の高校生を本社オフィスに招待して特別授業を実施した。東日本大震災の復興支援を目的とした活動で、同社が注力する「デザイン思考」を高校生が実践して、生徒たちが地元地域を活性化するためのアイデアを考えるもの。特別授業の企画・開催に協力したNPO法人オペレーション・ブレッシング・ジャパンのドナルド・トムソン代表理事は「これからの復興を担う高校生たちに、具体的に復興を考える経験をしてほしかった」と話した。

 特別授業に参加したのは、福島県立小高商業高等学校 情報ビジネス課の生徒たち約30名。福島県小高区は震災の発生直後、避難指定地域に指定されていた。

 デザイン思考は、未知の問題を解決するためのアイデアを考えるための技術。アイデアを提案する手順や考え方にルールがあり、ルールに従って考えることで、よいアイデアが出やすいという。高校生たちは「地域を活性化するための製品や取り組み」を考えるため、SAPジャパンの社員と一緒にアイデアを出しあった。

 参加した生徒たちは「この人は子供と一緒に遊ぶのが好きだから、小中学生たちと交流できると嬉しいと思う」や「この人は洋服ブランドを作る夢があるから、デザインを学びながらできる仕事が欲しい」といったように、具体的な仮の人物像に共感しながらアイデアを出すデザイン思考の方法に沿って話し合った。

 SAPジャパンの笹本力CSRリーダーは「デザイン思考を広めることをきっかけに地域の自立を促し、震災復興支援に貢献できると考えた」と、特別授業を開催した経緯を話した。同社は被災した漁師とデザイン思考を使ってアイデアを出しあい、海産物をインターネット上で販売する新事業に協力したことあるという。「物資を提供するための資金援助などだけでなく、SAPならではの活動でも復興支援ができると考えた」(笹本CSRリーダー)。