パラレルスは2016年8月23日、MacをWindowsパソコンとして使えるようにする仮想マシンソフトの新版「Parallels Desktop 12 for Mac」(画面1)を発表、同日国内で発売した。新版では、Windowsを使いやすくする工夫として、Windowsアップデートをスケジュール実行する仕組みや、Windowsアプリケーションの起動時間を短縮する仕組みなどを追加した。価格(税込み)は、通常版で8500円など。

画面1●Parallels Desktop 12 for Macの画面
画面1●Parallels Desktop 12 for Macの画面
(提供:パラレルス)
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 macOS(旧OS X)をホストOSとして、この上でWindowsを導入した複数台の仮想マシンを動作させることができる(関連記事:パラレルス、MacでWindowsを使うための仮想マシンソフトが新版に)。Macのハードウエアは最初からWindowsをインストールすることが可能だが、Parallels Desktopのような仮想マシンソフトを利用することによって、macOSとWindowsを同時に利用できるようになったり、OSの管理性が高まるなどのメリットが得られる。

 今回の新版では、Windowsをより使いやすくするための機能を増やした。まず、Windowsのインストールを簡素化した。また、Windowsアップデートで作業が中断しないようにしたほか、Windowsアプリケーションをすぐに起動できるようにした。さらに、Macが持つ「他のウインドウを隠す」機能を、Windowsアプリケーションでも使えるようにした。

写真●パラレルス、代表取締役の下村慶一氏
写真●パラレルス、代表取締役の下村慶一氏
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 パラレルス代表取締役の下村慶一氏(写真)は、「MacでWindowsをより使いやすくする」ことを目的に製品を開発し、機能強化を図っているとアピールする。市場シェアの目標値としては、「MacでWindowsを使っているユーザー(仮想マシンソフトだけでなく直接インストールを含む)の50%をParallels Desktopユーザーにしたい」(下村氏)としている。

Windowsの運用負荷を減らすことに注力

 説明会では、米パラレルスでシニアプロダクトマネージャーを務めるカート・シュマッカー氏が、新版で追加した機能群をデモンストレーションした。

 Parallels Desktopをインストールすると、ウィザードのダイアログが立ち上がり、ここからWindows 10を購入できる(画面2)。Microsoft StoreからWindows 10のプロダクトキーとISOイメージを入手し、プロダクトキーを登録すると、自動的に仮想マシンにWindowsがインストールされる。

画面2●Windowsの購入とインストールを簡素化するウィザード画面
画面2●Windowsの購入とインストールを簡素化するウィザード画面
(提供:パラレルス)
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画面3●Windowsのアップデートと再起動をスケジュール実行できる
画面3●Windowsのアップデートと再起動をスケジュール実行できる
(提供:パラレルス)
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 Windowsアップデートをスケジュール実行する機能も追加した。Parallels Desktop側で、Windowsのアップデートと再起動のスケジュールを設定し、自動実行できる(画面3)。「すぐに作業したい時に、一番時間がかかってしまうのがWindowsアップデート。新機能は、Windowsアップデートがダウンタイムになっている状況を解決する」(シュマッカー氏)。

 Windowsアプリケーションを素早く起動するための仕組みとして、設定によってWindowsアプリケーションを常時バックグラウンドで動作させておけるようにした。これにより、CPUパワーを消費することなく起動を高速化できる。Macのドック上に置かれているPowerPointなどのWindowsアプリケーションのアイコンをクリックすると、即座にWindowsアプリケーションのウインドウが立ち上がる。

 Macが備えている便利な機能として、利用中のアプリケーションのウインドウだけを開き、他のアプリケーションのウインドウを隠す機能がある。Parallels Desktop 12では、同機能をWindowsアプリケーションでも使えるようにした。あらかじめアプリケーションの起動プロパティを設定しておくことによって、起動時に他のウインドウを隠すことができる。

 新版ではさらに、ユーティリティツール群「Parallels Toolbox」をバンドルした。画面キャプチャー機能や画面操作の録画機能など、合計20個のプログラムで構成する。