リアルタイム混雑予測技術
リアルタイム混雑予測技術
出所:三菱電機
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 三菱電機は2016年8月18日、イベント会場と最寄駅などを結ぶ経路の混雑状況を予測する「リアルタイム混雑予測技術」を、東京大学と共同開発したと発表した。監視カメラ映像を解析して、リアルタイムで人の流量を推定し、現場の状況に即した適格な混雑解消対策による来場者の安全確保に貢献するという。

 経路上に設置した監視カメラの映像をその場で解析し、現在の人の流量を算出して混雑状況を予測する「高速群集移動シミュレーター」を開発。実際の混雑状況に対する予測精度を約80%まで高精度化した。従来手法では、過去に取得した人の流量データを用いるため、精度が約50%にとどまっていたという。

 近くの人の情報のみで計算できる「高速群集移動モデル」を採用することで計算量を削減し、高速処理を実現した。従来の群集移動シミュレーターでは、周囲の全ての人の動きを考慮する行動モデルを用いていたため膨大な計算量が必要だった。

 経路上で混雑リスクが発生する箇所をリアルタイムに予測することで、混雑リスクの高い箇所への迅速・適切な警備員配置や回避経路の確保が可能となるなど、的確な混雑解消対策をとれるようになる。また、現在の人の流量情報を用いるため、過去のデータには表れない事件・事故の発生などに対しても状況に応じた対策が可能。警備作業の効率化により、人件費抑制にも貢献する。

 同技術は、2016年8月20日の「第38回世田谷区たまがわ花火大会」で実証を行った。今後、予測精度を90%まで高精度化し、数年後の実用化を目指す。

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