日本オラクルは2016年8月10日、東京・青山の同社オフィスで、IoTアプリケーションをテーマとした「Oracle Cloud Developers Meetup」を開催した。センサーデバイスとLINEを連携させて「畑と会話するIoT」アプリケーションのデモと、そのバックエンドを「APEX」(Application Express)で開発するハンズオンを実施した。APEXは、クラウド・ネイティブアプリを開発するためのツールである。

 今回のハンズオンでは、講師として、日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括 PaaS事業推進室 エバンジェリストの中嶋 一樹氏が登壇した。中嶋氏は「畑と会話するIoT」について、「農業はユーザーフレンドリーである必要があるだろう」として、LINEで「畑との会話」できる「畑bot」を紹介した。

日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括 PaaS事業推進室 エバンジェリストの中嶋 一樹氏。手にしているのは土壌水分を測定するデバイス
日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括 PaaS事業推進室 エバンジェリストの中嶋 一樹氏。手にしているのは土壌水分を測定するデバイス
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 畑botは、Raspberry Pi3に土壌湿度センサーを接続し、そのデータをSORACOM Airでクラウドに送信する仕組み。APEXで作成したWebコンソールでも土壌センサーからのデータを見ることができる。ただし、「これではあまりユーザーフレンドリーとは言えない」(中島氏)。そこで今回、自然言語で話しかけてオーダーを聞いてくれるbotを使って畑を「擬人化」した。

畑botの概要。IoTデバイスからの情報をOracle Databese Cloudに蓄積。これをBotを介して「LINEで会話」する
畑botの概要。IoTデバイスからの情報をOracle Databese Cloudに蓄積。これをBotを介して「LINEで会話」する
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 中嶋氏によれば、bot技術が最近よく使われるようになった背景には、自然言語処理技術の進歩が一因となっているという。今回のデモでは、自然言語処理サービス「api.ai」を使用し、LINEで会話する感覚で畑の大まかな水分量を判断できる機能などを紹介した。

LINEでの会話例。「カラカラです」の回答の後に水を注ぐと「ジャブジャブです」となった。
LINEでの会話例。「カラカラです」の回答の後に水を注ぐと「ジャブジャブです」となった。
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 今回のハンズオンでは、IoT機器からやってくるデータをOracle DBに格納するバックエンドサーバー構築を実施した。APEXを使用することでフォーム入力だけでDB作成が完了し、REST APIを作成するのもフォームと対応するSQL文を記入するだけでよい。参加者は1時間程度の短い時間でサーバーを構築できた。

オラクルも使用しているQiitaの紹介も

 ゲストとしてIncrementsの及川 卓也氏も登壇。技術系エンジニアがブログ情報発信をしている状況に触れながら、記事を読んだ人が「編集リクエスト」として追加のコメントや提案を行える「GitHubのドキュメント版」とも言える「Qitta」を紹介。「オウンドメディアを作らなくてもQittaで同様の情報発信が可能になる」と語った。

Increments プロダクトマネージャの及川 卓也氏
Increments プロダクトマネージャの及川 卓也氏
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 日本オラクルでも「外部に出しても問題ないのに、これまでは内部に蓄積したままで発信できていない情報が大量にあった」と述べ、現在、Qitttaを使って外部発信している事例を紹介した。

 なお、今回のハンズオンで使用したAPEXチュートリアルテキストや畑BotのデモもQittaで公開されている。