図1●配信の仕様(発表資料から、以下同)
図1●配信の仕様(発表資料から、以下同)
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図2●利用のイメージ
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図3●対応テレビの一覧(2016年8月5日時点、一部のモデルは、利用に際してソフトウエアアップデートが必要な場合あり)
図3●対応テレビの一覧(2016年8月5日時点、一部のモデルは、利用に際してソフトウエアアップデートが必要な場合あり)
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 アクトビラは2016年8月5日、放送事業者向けにハイブリッドキャストサービスに連動した新たな4K映像配信対応の放送連携PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)の提供を同日に開始したと発表した (図1、2)。サービスブランド名は、「AMADEUS」(商標出願中)である。

 これまでアクトビラは、放送事業者にハイブリッドキャストサービスと連動した2K映像配信の放送連携PaaSを提供してきた。今回4K映像配信機能を追加することで、放送事業者は市販の4Kネット配信に対応するハイブリッドキャスト機能搭載テレビを対象に、4K映像を提供することが可能になる。

 AMADEUSは、市販の4Kネット配信に対応するハイブリッドキャスト機能搭載テレビとの動作検証済みMPEG-DASHプレーヤー(DRM対応)を併せて提供する。これにより放送事業者は、受信機との接続検証が不要となり、サービスの立ち上げや運用工数の大幅削減が可能になることが特徴だ。

 AMADEUSが実現するサービス形態は、ハイブリッドキャストと連携した「ライブまたは時差再生サービス」(ライブ映像のリアルタイム4K符号化を実行)と、「4K VODサービス」(映像素材をあらかじめ4K符号化)の2種類である。

 視聴者は、インターネット回線(常時実効速度40Mbps以上を推奨)に接続された市販の4Kネット配信に対応するハイブリッドキャスト機能搭載テレビ(図3)があれば、放送番組中にハイブリッドキャストサービスを呼び出し、インターネットを経由してAMADEUSにアクセスすると視聴中のハイビジョン放送からシームレスに4K映像を視聴できるようになる。

 このサービスはハイブリッドキャストと連動した4K映像配信を行う放送事業者向けであり、従来からBtoC向けVODとして提供されているアクトビラとは位置付けが異なる。このため、AMADEUSという新しいサービスブランド名を用意した。

 視聴者は、あらかじめ対応テレビを高速なネット回線に接続しておくだけでよく、特別な契約や手続きは不要である。あとは、リモコンのdボタンを押してハイブリッドサービス画面を立ち上げれば、自動でAMADEUSにアクセスし、視聴している放送事業者のサービスとして4K映像を楽しむことができる。アクトビラはあくまで裏方の立場で、視聴者はアクトビラを一切意識する必要はない。

 放送事業者、特に地上波放送局にとって放送連携PaaSが4K対応になる意義は大きい。4K放送サービスがCS放送やケーブルテレビ、IPTVでスタートし、BS放送でも2018年以降に本放送の開始が予定されている。一方で、地上波で4K放送を開始するためには周波数を確保する必要があり、検討はこれからの段階だ。

 このため、ハイブリッドキャストサービスと連動した4K映像配信の実験は多くの地上波放送局で実施されている。この中で、「受信端末をどうするかが課題」といった声も聞こえていた。今回は、配信基盤に加えて、動作検証済みMPEG-DASHプレーヤー(DRM対応)が併せて提供されることから、放送事業者によるハイブリッドキャストと連動した4K配信の取り組みを加速させるきっかけになる可能性もありそうだ。

 なお、AMADEUSは、NHKが実施する「リオオリンピックの実験的な4Kネット配信」でも利用される。アクトビラは、対応機器メーカと連携しながら、AMADEUSの機能拡充を推進していく計画。