SAPジャパンは2016年8月4日、ユーザー事例の一つとして、カナダのATBフィナンシャル銀行がカナダからドイツにブロックチェーン技術を使って国際支払送金を行ったと発表した。欧州SAPのクラウドサービスと、米リップル・ラボが運営する即時決済ネットワークシステムを組み合わせて送金した。SAPジャパンは今回、欧州SAPが7月14日に発表した発表文の抄訳として同事例を国内で発表した。

 SAPとリップル・ラボは今回、ATBフィナンシャル銀行と協力して、国際送金のPoC(コンセプト検証)のプロトタイプを9日間で設計・構築した。これを使って、1000カナダドル(667ユーロ)を、ドイツのライゼバンク銀行に送金した。通常では相手方銀行の準備や口座照合などの要件によって処理に2営業日から6営業日かかる支払いが、およそ20秒で完了したという。

 構築したPoCのプロトタイプでは、欧州SAPのPaaSであるSAP HANA Cloud Platformと、支払プロセスを一元的に集約するSAP Payment Engineを、米リップル・ラボの即時決済ネットワークシステムに接続した。この上でさらに、デモンストレーションのため、支払いを実行するモバイル画面を提供した。

 ATBフィナンシャル銀行は、2011年にすべてのシステムを欧州SAPの製品やサービスを利用した新システムに移行ずみという。