写真1 Cerevoが開発中の「SIM CHANGER Δ」のモックアップ。Δ(デルタ)という名称に引っかけて、三角形を多用した形状にしている
写真1 Cerevoが開発中の「SIM CHANGER Δ」のモックアップ。Δ(デルタ)という名称に引っかけて、三角形を多用した形状にしている
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写真2 Cerevo代表取締役の岩佐琢磨氏
写真2 Cerevo代表取締役の岩佐琢磨氏
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 ネットワーク家電メーカーのCerevoは2016年8月2日、4枚のSIMカードを入れ替えずに切り替えて利用できるようにするガジェット「SIM CHANGER Δ」を発表した(写真1)。同日からクラウドファンディングサイト「Makuake」で出資者を募集。無事成約した場合は、2017年3月から一般向けに販売する。

 SIM CHANGER Δは一見するとモバイルルーターのような形状で、4枚ぶんのSIMスロットを搭載している。スマートフォン本体には「ブリッジカード」と呼ぶ、SIMカード形状のカードを入れておく。ユーザーは専用のアプリを使って、その時点で通信に使いたいSIMカードを選択する。スマートフォンが利用者情報などSIMにアクセスしようとすると、ブリッジカードがBluetooth Low Energy(BLE)でSIM CHANGER Δと通信して、該当するSIMカードから必要な情報を受け取り、スマートフォンに渡す仕組みだ。このような仕組みであるため、SIM CHANGER ΔはスマートフォンとBLEで通信可能な範囲に存在する必要がある。逆に複数台のスマートフォンで1つのSIMを場面に応じて切り替えて利用することも可能だ。

 一見すると4枚のSIMというのはかなり特殊だが、「当社が手がけるのは広く一般に受け入れらる製品ではない。例えば私自身のように海外出張で中国と香港、米国などいくつか特定の国を頻繁に訪れるユーザーや、会社と個人、さらに会社には知られてもいい個人用と分ける使い方はある」(Cerevo代表取締役の岩佐琢磨氏、写真2)。4枚にしたのは、「筐体をある程度大きくして、搭載する電池容量を高めて1カ月は充電不要にしたかったから」(同氏)でもあるという。

 基本的な仕組み上どのキャリアのSIMでも利用できるが、確認済みであるのはNTTドコモ。auやソフトバンクについては限られた環境で最低限の疎通は確認済みであるという。対応するスマートフォンについてはMakuakeのプロジェクトページで公開している。

 クラウドファンディング成立後の一般販売時の価格は1万5000円前後を予定している。クラウドファンディングで早期に出資した利用者には1万800円で提供する。ブリッジカードはAndroidとiPhoneで異なるものを利用するため、単体での販売も計画している。

 SIMを切り替える仕組みはNTTドコモが開発した「ポータブルSIM」という技術に基づいている。NTTドコモはポータブルSIM技術を「PSIM Suite」というパッケージにまとめ、他社に技術をライセンス供与している。今回のCerevoがその第1弾である。