配車サービスの米Uber Technologiesと中国Didi Chuxing(滴滴出行)は現地時間2016年8月1日、DidiがUberの中国事業Uber Chinaを買収することで合意したと発表した。両社によって繰り広げられてきた中国本土での激しい競争に終止符が打たれる。

 買収額は明らかにしていないが、DidiはUber Chinaのブランド、事業拠点、データを含む全資産を取得する。Uber Chinaのブランドを維持し、サービスを継続する。

 一方Uberは、Uber ChinaとDidiの統合による新会社の株式の5.89%を受け取る。これはDidiにおける経済的出資持分の17.7%に相当する。また、中国Baidu(百度) など、Uber Chinaの中国株主はDidiにおける経済的出資持分2.3%相当を受け取る。

 DidiはUberの少数株式を取得し、Didi創業者のCheng Wei会長がUberの取締役に就任する。Uber共同創業者で最高経営責任者(CEO)のTravis Kalanick氏はDidiの取締役に就く。

 Uber ChinaとDidi統合後の新会社の企業価値は350億ドルと見積もられる。Didiの評価額はこれまで280億ドルだったので、Uber Chinaの評価額は70億ドルということになる(英Guardianの報道)。

 Uberは2年前にUber Chinaを立ち上げ、現在、月間乗車数は1億5000万回を超えるという。Uberは中国本土でのサービス強化に多額を費やし、米Bloombergによれば、これまで20億ドル以上の損失を出している。

 Kalanick氏は「Uber ChinaとDidiはし烈な競争の中で互いに数十億ドルを投じてきたが、いずれも利益をあげられていない。間違いなく、Uber ChinaとDidiは統合することでより強力になれる」と述べている。

 Didiは、ライバル同士の中国Didi Dache(滴滴打車)と中国Kuaidi Dache(快的打車)が2015年2月に合併して誕生した。中国Alibaba Group(阿里巴巴)や中国Tencent Holdings(騰訊控股)から出資を受けており、2016年6月に実施した投資ラウンドでは米Appleから10億ドルを調達している(関連記事:中国配車サービスDidiがAppleらから70億ドルを調達、米メディアの報道)。

[発表資料(1)]

[発表資料(2)]