富士通は2016年7月27日、ミャンマーの首都ネピドーで、「富士通アジアカンファレンス2016ネピドー」を開催した。同社がアジア地域で連続して行ってきているイベントの今シーズン第1弾である。2016年のシリーズを通じたテーマは「Human Centric Innovation - Driving Digital Transformation」。ともにデジタル革命を加速させていこうというメッセージである。会場には政府高官を含め150人近い聴衆が集まり、メモを取るなどしながら真剣な表情で講演に聞き入った。

 ミャンマーでは、今年3月にアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相率いる新政権が誕生し、急ピッチで改革が進む。そんな中、多くの事務処理を紙ベースで進めているミャンマーの官庁に対し、富士通はカンファレンスの場で、最先端技術による電子政府化を推進するよう提案した。一方、ミャンマー側のスピーカーは、口々にICTインフラ整備の必要性を訴えた。

「変革は国民中心で行われるべき」と運輸通信省の副大臣

写真1●富士通の広瀬敏男・執行役員Asiaリージョン長
写真1●富士通の広瀬敏男・執行役員Asiaリージョン長

 カンファレンス冒頭では、富士通の広瀬敏男・執行役員Asiaリージョン長が、同社のアジア重視の姿勢を示した(写真1)。ベトナムでの農業改革や、シンガポールでのビッグデータを利用した交通渋滞解消の取り組みに加え、インドネシアでの遠隔医療などのプロジェクトを紹介しながら、アジア各地でICTを利用した事業を展開していることを強調。「ミャンマーでもICTを使ったサービスを提供していきたい」と熱弁を振るった。

写真2●ミャンマー運輸通信省のチョー・ミョー副大臣
写真2●ミャンマー運輸通信省のチョー・ミョー副大臣

 続いて、ミャンマー運輸通信省のチョー・ミョー副大臣があいさつした(写真2)。同氏は「変革は国民中心で行われるべきだ」とし、人間中心のイノベーションを訴える今回のカンファレンスのテーマを高く評価。先端技術を導入して改革を進めることで、雇用の創出にもつながるとの期待について語った。

 次に登壇したのは富士通の辰巳徳朗ヤンゴン支店長である。同氏は、日本の政府開発援助(ODA)の一環としてミャンマー中央銀行の基幹システム構築を手掛けた実績を紹介。富士通のハイエンドからローエンドまでをカバーする幅広いサービスによって「ミャンマーの電子政府化をサポートしていく」と力を込めた。このほか、ICT人材の育成を進める方針を示すとともに、人材難に苦しむミャンマーを支援していく姿勢をアピールした。

写真3●在ミャンマー日本大使館の松尾秀明参事官
写真3●在ミャンマー日本大使館の松尾秀明参事官

 続いて登壇した在ミャンマー日本大使館の松尾秀明参事官も、これを受けて、中央銀行の事業などで、日本の官民がミャンマーを支援していることを強調(写真3)。国民民主連盟(NLD)の新政権が目指す国民生活の向上のためには、ICT分野などで外国投資の促進が必須だと指摘した。