写真●取締役執行役員常務の川島勇CFO(最高財務責任者)
写真●取締役執行役員常務の川島勇CFO(最高財務責任者)
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 NECは2016年7月29日、2016年4~6月期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比11.7%減の5187億円、営業利益は同224億円減で299億円の赤字になった。第1四半期の赤字額としてはリーマンショック後の2009年4~6月期に記録した400億円に次いで大きい。全セグメントで前年同期に比べて減収。「エンタープライズ」セグメント以外は赤字だった。

 会見に臨んだ同社 取締役執行役員常務の川島勇CFO(最高財務責任者)は「見込んでいた大型受注が下期にずれ込んだ影響があり、予想より100億円ほど赤字が膨らんだ」と話した(写真)。

 NECは2016年度から決算会計方式をIFRSに変更した。前年同期比は2015年4~6月期の決算をIFRSで算出しなおして比較している。

 唯一の黒字だった「エンタープライズ」セグメントの売上高は、前年同期比3.1%減で665億円。営業利益は同3億円増の37億円で減収増益だった。システム構築サービスの収益性改善が増益に寄与した。企業のIT投資が好調に推移しているとし、「前年同期にあった流通関連の大型案件の反動を考えると、減収だが堅調だ」(川島CFO)という。

 最も前年同期比が落ち込んだのが、官公庁や公共向けの「パブリック」セグメントだ。売上高は前年同期比19.3%減の1175億円、営業利益は32億円減で26億円の赤字だった。大型案件の反動があり、消防・救急無線のデジタル化需要が一巡して大きく減収した。見込んでいた衛生関連の大型受注は、第2四半期以降にずれ込んだ。

 「テレコムキャリア」セグメントは、売上高が前年同期比15.3%減の1211億円、営業利益が同45億円減で69億円の赤字だった。国内外で通信事業者の投資が低調だったことに加えて、円高の影響で赤字が膨らんだ。中南米を中心にした通信キャリアの計画が遅れている影響も出た。「システムプラットフォーム」セグメントはストレージやサーバーなどハードウエア関連が減少して前年同期比6.2%減の1502億円だった。営業利益は保守サービスの収益率が悪化し、同89億円減って45億円の赤字だった。

 「その他」セグメントの売上高は、前年同期比9.3%減の633億円、営業利益は同22億円減で84億円の赤字となった。電力会社向けの専用線や小型蓄電池を含む「スマートエネルギー」事業が落ち込んだ。前年同期にあったスマートメーター受注の反動も重なった。

 「赤字の理由はプロジェクトの谷間が重なったため。通年の予想に影響する大きな変動はない」(川島CFO)とし、2017年3月期の連結業績予想は16年3月期比2.0%増の2兆8800億円、営業利益は同86億円増の1000億円と据え置いた。