デロイト トーマツ コンサルティングは2016年7月27日、アジア太平洋地域における防衛投資や防衛戦略・政策などについてまとめた「Asia Pacific Defense Outlook 2016」を発行、記者説明会を開催した。

 これはデロイトが、2020年に防衛投資の合計が世界の95%を占めると予想される50カ国の防衛戦略についてまとめた「Global Defense Outlook 2016」をもとに、アジア太平洋地域の動向を同社独自の見解でまとめたもの。サイバー攻撃への備えについても言及している。

 記者説明会では、執筆者であるデロイト アジア・パシフィック ディフェンス リーダーであるジャック・ミジリー氏と、デロイト トーマツ コンサルティング アソシエイトである嵐理恵子氏が、内容を説明した。

デロイト アジア・パシフィック ディフェンス リーダーであるジャック・ミジリー氏
デロイト アジア・パシフィック ディフェンス リーダーであるジャック・ミジリー氏
(撮影:吉澤 亨史、以下同じ)
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デロイト トーマツ コンサルティング アソシエイトである嵐 理恵子氏
デロイト トーマツ コンサルティング アソシエイトである嵐 理恵子氏
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 2016年から2020年までのアジア太平洋地域における防衛予算の伸び率の比較では、インドネシアが32%、フィリピンが31%、カンボジアが31%、ベトナムが25%、中国が25%、インドが24%となった。この6カ国が伸び率で20%を超える。この6カ国の防衛予算を合算すると、2020年の全世界の防衛予算の66%を占めるとした。

 米国を除く世界平均の伸び率は約10%。10~20%の伸び率の国としては、マレーシア、オーストラリア、韓国、バングラデシュ、ニュージーランド、シンガポール、ミャンマーがある。一方、10%以下はブルネイ、タイ、スリランカ、台湾であった。日本はマイナス2%、米国はマイナス6%となっている。

2016年から2020年までの防衛予算の比較
2016年から2020年までの防衛予算の比較
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攻撃の対象となるインフラが多い国ベスト5は?

 サイバー攻撃に対する脆弱性(サイバー脆弱性)については、デロイト トーマツ コンサルティング独自の指標により比較している。これはアジア太平洋地域50カ国を対象に、攻撃の対象となるインフラがどの程度あるかをベースとしている。サイバーセキュリティ対策への投資などは加味されていない。

 これによると、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、日本、シンガポールの値が高く、攻撃の対象となるインフラが多いことが若かった。同社はこの5カ国を、「サイバー5」と呼んでいる。

 また、インターネットに晒された産業用制御システム(ICS)の国別比較として、IPアドレス数とGDPの比率を示した。これによると、「50」を超えた国は韓国、オーストラリア、ニュージーランドの3カ国で、日本は「21」で5位となっている。

デロイト トーマツ コンサルティング独自に算出した、国別の「サイバー脆弱性指標」
デロイト トーマツ コンサルティング独自に算出した、国別の「サイバー脆弱性指標」
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