無線LAN関連の業界団体であるWi-Fi Allianceは2016年7月27日、「Wi-Fi CERTIFIED ac」の拡張「Wave 2」についての説明会を開催。無線LAN機器の台数増加やコンテンツの大容量化によって高速無線LANが不可欠になるなどの現状を解説した。Wave 2の認証開始そのものは、Wi-Fi Allianceが6月29日(米国時間)に発表している。

 Wave 2は、MU-MIMO(マルチユーザーMIMO)に対応、チャンネル幅を従来の倍の160MHzへ拡張、空間ストリームを3本から4本へ増加、5GHzのチャンネルの拡大などの特徴がある。Wave 2に対応したとする機器は既に販売されているが、これまでは相互接続性に不透明さが残っていた。Wave 2の認証開始により、相互接続性が保証された機器が今後増えていくと見込まれている。

 説明会に登壇したのはWi-Fi Allianceマーケティング担当バイスプレジデントのケビン・ロビンソン氏。ロビンソン氏は、家庭で使われている無線LAN対応機器が平均7.8台であること、動画配信サイトのストリーミング映像が高画質化していること、ソーシャルメディアでも動画対応が進んでいることなどを挙げ、「無線LAN機器の急増と、『リッチコンテンツ』を利用するユーザーの増加により、無線LANの高速化が求められている」との見方を示した。

Wi-Fi Allianceマーケティング担当バイスプレジデントのケビン・ロビンソン氏。
Wi-Fi Allianceマーケティング担当バイスプレジデントのケビン・ロビンソン氏。
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 無線LAN機器が使う周波数には2.4GHz帯と5GHz帯がある。ロビンソン氏は、これまでの「Wi-Fi CERTIFIED ac」認証により、5GHz帯を使う機器が普及してきたと指摘。現在、認証を受けた無線LAN機器の68%がデュアルバンドに対応しており、今後5年間でほぼ100%がデュアルバンドになるという。

 ロビンソン氏は、伝送効率の向上を図ったWave 2は、複数の無線LAN機器を同時に使用したときでも速度が維持できるとし、「家族全員が(それぞれのデバイスで)高精細な映像を見られる」などとメリットを説明。Wave 2認定製品が普及するように支援していくとした。

Wave 2の主な特徴。
Wave 2の主な特徴。
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無線LAN用チップの普及予測。
無線LAN用チップの普及予測。
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 説明会には無線LANビジネス推進連絡会(Wi-Biz)の小林忠男会長も出席した。「2001年にWi-Fiとして普及し始めたころは1年間に800万チップが出荷されていた。2016年の予測値は30億チップ。1日当たり約800万であり、15年前の1年の出荷量が1日で出荷されていることになる」と、無線LANの爆発的な普及状況を解説。「Wi-Fi Allianceと協業して、IoT(インターネット・オブ・シングズ)向けとされるWi-Fi HaLowなどを使う、新しい市場の創生を図りたい」とした。

無線LANビジネス推進連絡会(Wi-Biz)の小林忠男会長。
無線LANビジネス推進連絡会(Wi-Biz)の小林忠男会長。
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