米Amazon.comは現地時間2016年7月25日、同社が開発を進めているドローン配送システム「Amazon Prime Air」について、英国政府と連携して飛行実験を行うと発表した。

 Amazon.comは英国運輸省民間航空局(Civil Aviation Authority:CAA)が主導する政府組織と提携した。これにより同社は、(1)英国の農村や郊外における、操縦者の視界を越える範囲の飛行実験、(2)実験機が備える障害物検知・自動回避機能の実験、(3)1人の操縦者が複数のドローンを操縦する実験が可能になる。またCAAは、これらの実験結果を今後の規制策定のための情報として利用できるとしている。

 これに先立つ昨年11月、Amazon.comはドローン配送システムのプロトタイプ機を公開した。このドローンはヘリコプターと飛行機を融合させたデザインで、垂直に離陸し、一定の高度に上がると水平飛行する。

 高度400フィート(約122メートル)までの上昇が可能で、Amazon.comは15マイル(約24キロメートル)以内の範囲で30分以内に商品を届けることを目指している。またほかの飛行機や建物、人間といった障害物を検知して自動回避する機能も備えている(関連記事:Amazon.com、ドローン配送「Prime Air」の新試作機を公開)。

 しかし今回のAmazon.comの英政府との提携について報じている米New York Timesの記事は、米連邦航空局(FAA)が今年6月に発表した商用小型ドローンの運用規則について触れている。同紙によると、米国では夜間飛行や操縦者の視界を越える飛行などが禁止されており、Amazon.comは同国でドローンの飛行実験ができない状況(関連記事:米航空局、商業小型ドローンの最終版規則を発表、8月施行へ)。

 Amazon.comは以前から米当局に対し、ドローンの商用飛行に関する規制緩和を求めているが、当局は安全上の理由からドローンを使った商品配送を認めることに慎重だという。そうした中、Amazon.comはその研究開発の多くを英国、カナダ、オランダに移しているとNew York Timesは伝えている。

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