米Appleは現地時間2016年7月26日、2016会計年度第3四半期(2016年4~6月)の決算を発表した。主力製品である「iPhone」の販売が引き続き減少し、2四半期連続の減収減益となった。

 第3四半期の売上高は423億5800万ドルで前年同期と比べ15%減少。純利益は77億9600万ドルで同27%減少し、1株当たり純利益(EPS)は同23%減の1.42ドルとなった。営業利益は同28%減の101億500万ドル。粗利益率は38%で1年前の39.7%から縮小した。

 売上高と利益ともに前年同期を下回ったものの、市場予測は上回った。アナリストの予測平均は売上高が421億ドル、EPSが1.38ドルだった(米CNETの報道)。

 Tim Cook最高経営責任者(CEO)は、3月末にリリースした4型スマートフォン「iPhone SE」の出だしが好調だったことや、6月の「Worldwide Developers Conference(WWDC)」で発表したソフトウエアやサービスに対する反応が好感触だったことに言及した。Luca Maestri最高財務責任者(CFO)も、サービス事業が2ケタ成長を遂げ、「App Store」の売上高が過去最高となったことを強調した。

 iPhoneの出荷台数は前年同期比15%減の4039万9000台で、売上高は同23%減の240億4800万ドルだった。「iPad」の出荷台数は同9%減の995万台だったが、売上高は48億7600万ドルで同7%増加した。「Mac」は出荷台数が同11%減の425万2000台、売上高が同13%減の52億3900万ドルだった。

 App Storeやその他サービスの売上高は59億7600万ドルで、前年同期比19%成長した。「iPod」や「Apple TV」などのその他ハードウエアおよびアクセサリーの売上高は22億1900万ドルで、同16%減少した。

 iPhoneの購買層は安価なiPhone SEに移行していると見られ、iPhoneの平均販売価格は前年の662ドルから595ドルに低下した(米The Vergeの情報)。iPadは上位機種「iPad Pro」の9.7型の投入が売上増につながったと考えられる(米TechCrunch)。

 地域別の売上高は、米大陸が前年同期比11%減の179億6300万ドル、欧州は同7%減の96億4300万ドル、中国は同33%減の88億4800万ドルだった。日本は35億2900万ドルで同23%増加した。他のアジア太平洋地域は同20%減の23億7500万ドルだった。米国外からの売上高が総売上高に占める割合は63%となる。

 またAppleは今後の業績見通しについても明らかにした。2016会計年度第4四半期(2016年7~9月)の売上高を455億~475億ドルの範囲、粗利益率を37.5~38%の範囲と予測。2015会計年度第4四半期(2015年7~9月)は売上高が515億100万ドル、粗利益率は39.9%だった(関連記事)ので、引き続き減収を見込んでいる。

 米New York Timesは、サービス事業の成長が唯一の明るい材料だと報じている。iPhone販売の低下は、ユーザーのApple製品に対する愛着が薄れたか、あるいは9月に発表される見通しの新モデルを待っているためとも考えられる。業績結果が市場予想を上回ったため、Appleの株価は時間外取引で7%上昇した。

[発表資料(プレスリリース)]
[発表資料(財務諸表)]
[発表資料(業績データ)]