Appleで、かつてハードウエアエンジニアリング部門を率いていたBob Mansfield氏が、同社の自動車開発プロジェクトの責任者に任命されたと、複数の海外メディア(米AppleInsider米PCMagなど)が現地時間2016年7月25日に、米Wall Street Journalの記事を引用して伝えた。

 Appleは正式な発表を行っていないが、同社には「Titan」と呼ばれる電気自動車開発のプロジェクトがあり、数百人の従業員がこれに加わっているとの観測が流れている(関連記事:Appleが電気自動車の秘密プロジェクト、FordやMercedesの元幹部が参加)。

   Mansfield氏は1999年にAppleに入社し、「MacBook Air」「iMac」「iPad」などのハードウエアエンジニアリングを手がけた。2012年の組織再編に伴い、それまでのハードウエアエンジニアリング担当上級副社長(SVP)から新設されたテクノロジー部門の上級副社長(SVP)に役職が変わった。しかしその翌年、同氏は突如幹部チームを離れた。

 この時Appleは、同氏がTim Cook最高経営責任者(CEO)直属の特別プロジェクトに加わったと説明していた。Wall Street Journalによると、そのプロジェクトの1つが昨年発売した「Apple Watch」だった(関連記事:Apple幹部プロフィールから消えたBob Mansfield氏、特別プロジェクトを担当)。

 同紙によると、Mansfield氏はここ最近、時折会社に訪れるのみで、日常業務から離れていた。しかしAppleの従業員は7月に社員名簿で、Appleの自動車開発プロジェクトに携わっているすべてのシニアマネジャーがMansfield氏の部下になったことを知った。

 Mansfield氏はデータに基づいた意思決定ができ、複雑なプロジェクトを楽しんで取り組む人物という。Appleは、技術的に困難な数々の製品を市場にもたらしてきた実績を持つリーダーを、難航する新プロジェクトのトップに据えたと、事情に詳しい関係者は話しているという。