米Verizon Communicationsは現地時間2016年7月25日、米Yahoo!の中核事業を約48億3000万ドルで買収することで両社が最終合意したと正式に発表した。株主や当局の承認を得たのち、2017年第1四半期に手続きを完了する見込み。

 両社の合意については直前に海外メディアが報じており、買収額は約48億ドルとも約50億ドルとも伝えられていた(関連記事:Yahoo!、中核事業売却でVerizonと合意か)。

 合意の正式発表を受け、米Wall Street Journal(閲覧には有料登録が必要)は「Web企業の草分け的存在でありながら、一連のリーダーの失敗と戦略の失策で波乱に満ちた20年間に終止符が打たれる」と報じている。ドットコムブームのピークだった2000年初めには、Yahoo!の企業価値は1250億ドル以上と見積もられた。

 Verizonは、Yahoo!を傘下の米AOLと統合する。Verizonの執行副社長で製品革新および新規事業部門担当プレジデントであるMarni Walden氏が統合を指揮する。

 VerizonのLowell McAdam会長兼最高経営責任者(CEO)は「当社は1年余り前にAOLを買収し、消費者、クリエーター、広告主が様々なスクリーンサイズのデバイスを使ってつながることに注力してきた。Yahoo!買収により、Verizonはグローバルなモバイルメディア大手として競争力をいっそう高め、デジタル広告における収入増加を加速できる」と述べた。

 AOLのTim Armstrong CEOは、「Yahoo!は長期にわたって高品質なコンテンツに投資し、スポーツやニュース、金融といった主要分野で消費者に愛用されるブランドを創り上げた」とYahoo!の功績を称えた。

 またVerizonはYahoo!の優れたブランド製品として、約2億2500万人の月間アクティブユーザー(MAU)を持つ電子メールサービス、動画広告の「Brightroll」、モバイルアプリケーション分析の「Flurry」、広告プラットフォーム「Gemini」などを挙げた。

 一方、AOLはポータルサイト「AOL.com」のほか、ネットニュースサイト「Huffington Post」、技術系ブログの「TechCrunch」「Engadget」などを傘下に持つ。

 Yahoo!は、売却手続きが完了するまで独立企業として運営を続ける。手続き完了後に社名を変更し、投資会社となる。一部特許、現金、中国Alibaba Group Holding(阿里巴巴集団控股)と日本のヤフー(Yahoo! Japan)の持ち株、Yahoo!の転換社債は保持する。

 Yahoo!はAlibaba株の15%、ヤフー株の35.5%を保有しており、これらの価値は合計で約400億ドル相当とされる(米New York Times)。

 Yahoo!のMarissa Mayer CEOは、Yahoo!従業員に宛てた社内電子メールで「中核事業の売却はアジア資産を効果的に分離することになり、株主価値を明確にする計画の重要な一歩となる」と述べ、同社にとどまる意向を示した。「私はYahoo!を愛し、すべての従業員を愛している。Yahoo!が次の段階へ進むのを見届けることは私にとって重要だ」としている。

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