米Yahoo!はインターネット事業を米Verizon Communicationsに売却することで合意し、現地時間2016年7月25日にも発表する見通しだと、複数の海外メディアが報じている。

 売却額については最初に米Bloombergが約48億ドルと伝えたが、英Reutersの最新の報道によると約50億ドルと見られる。

 VerizonとYahoo!のいずれもコメントを出していないが、関係筋の情報では、7月25日の市場取引が始まる前に正式発表される見込み。売却資産には中核事業のほか、一部不動産も含まれる。

 かつてドットコムブームのピーク時には、Yahoo!の企業価値は1250億ドル以上と見積もられていたことを考えると、「驚くほどの値下がり」だと米Wall Street Journal(閲覧には有料登録が必要)は報じている。

 Yahoo!は中国Alibaba Group(阿里巴巴)と日本のヤフー(Yahoo! Japan)の株式を保持するという。同社はAlibaba株の15%、ヤフー株の35.5%を保有しており、これらの価値は合計で約400億ドル相当とされる。

 Verizonは、Yahoo!中核事業買収後、オンライン広告分野で米Googleや米Facebookの対抗する事業としてほぼ手を加えずに維持すると見られる。Verizonは2015年に約44億ドルで米AOLを買収しており(関連記事:VerizonがAOLを約44億ドルで買収へ、ビデオや広告に注力)、Yahoo!とAOLを統合してモバイルコンテンツおよびオンライン広告の戦略推進を図りたい考え。

 長い間、業績低迷で投資家らによるプレッシャーを受けていたYahoo!は、保有するAlibaba株を分離する計画を2015年初頭に打ち出したが、非課税での分離が不透明であることを懸念した株主らの反対により計画を断念した(関連記事:Yahoo!、Alibaba株分離計画を撤回、ネット事業などの逆スピンオフを模索へ)。

 今年に入って物言う株主である米Starboard Valueが同社への圧力をますます強める中(関連記事:物言う株主StarboardがYahoo!に経営陣の刷新を要求)、中核事業の売却を検討。買収提案を募集する1次入札を4月に、2次入札を6月に実施し、2次入札の時点でVerizonが最有力と伝えられていた(関連記事:Yahoo!のネット事業買収に向けVerizonが30億ドルを提示か)。

 業績建て直しを期待されて2012年7月にGoogleからYahoo!最高経営責任者(CEO)に就任したMarissa Mayer氏は、Verizonへの資産売却手続き完了後に退任する見通しだが、約5700万ドル相当の退職手当を受け取る見込み。米Equilarの推計では、CEO在任中の同氏の報酬(現金および株式)は総額約2億1800万ドルにのぼる(米New York Timesの報道)。