図●個人情報保護法制の適切な整備
図●個人情報保護法制の適切な整備
出所:日本経済団体連合会
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 日本経済団体連合会は2016年7月19日、5月に可決・成立したばかりの改正行政機関個人情報保護法について、再改正を求める提言を公表した。パーソナルデータを活用するために、地方公共団体ごとに異なる個人情報保護条例なども「一体的なデータ流通・利活用を促進する法的な措置が不可欠」としている。

 省庁や独立行政法人を対象にした改正行政機関個人情報保護法は5月に可決・成立し、公布された。同法では、個人情報保護委員会は省庁などについて、非識別加工情報(個人情報保護法の匿名加工情報に相当)の取り扱いに限って監督する。しかし提言では再改正によって、「個人情報保護委員会が民間部門・公的部門の個人情報保護法制全般を一元的に担うこととし、同委員会の体制を強化すべきである」としている()。

 「データ利活用推進のための環境整備を求める」と題した提言では、マイナンバー制度で利用が始まった法人番号について、活用や運用のノウハウを蓄積すべきだとした。その上で、サイバー空間で利用できる官民共通識別IDの整備を求めている。例えば、自動車については現在、各機関が車台番号や登録番号など別々の番号で管理している。提言では官民共通識別IDを、橋や道路、信号などの社会インフラや行政手続き、住宅や自動車にも拡大するよう求めている。

 また、提言では、国や地方公共団体、企業が一体となってデータ活用を進めるために「データ利活用推進基本法」の制定による後押しが不可欠だと主張。電子データによる行政手続きを「正」として、紙による手続きを「副」に転換することや、API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)による連携やデータフォーマットの標準化が重要だとした。

 さらに、政府に対しては省庁横断の「データ利活用推進本部(仮)」の設置など、政府の検討・実施体制を一元化すべきだとした。一方、企業に対しては「顧客らの不安を払拭するために、個人情報の収集目的や管理方法などに関する透明でわかりやすいプライバシーポリシーの開示に努めるべきである」としている。