ソフトバンクグループは2016年7月18日、プロセッサ設計大手の英ARM Holdingsを約240億ポンド(約3.3兆円)で買収することでARMと合意したと発表した。日本時間18日午後6時15分から孫正義社長がロンドンで記者会見をする。

 ARMが設計する「ARMアーキテクチャ」は、スマートフォン向けプロセッサのメーカーの多くが採用しており、ARMによればモバイル市場(スマートフォン、タブレット、ノートパソコン)におけるARMプロセッサのシェアは、2015年には85%に達したという。またARMプロセッサは近年、従来のスマホや家電機器への組み込みといった用途以外にも広がり始めている。

 例えば米QualcommがARMアーキテクチャを採用したサーバープロセッサを2015年10月に製品化するなど、サーバー分野にもARMアーキテクチャが広がり始めている。またドローンのような新しいIoT(Internet of Things)デバイスにも、ARMプロセッサが使われている。

 ソフトバンクグループはプレスリリースで、ARMが「グローバルな半導体の知的所有権と『IoT(インターネット・オブ・シングズ)』における優れた能力を有し、イノベーションに実績のある世界優秀のテクノロジー企業」だと表現。ARMを買収することによって、ARMの新しい成長分野である「Enterprise and Embedded Intelligence」分野におけるライセンス供与先の獲得などに同社が寄与したり、ARMの長期的な投資戦略を支援したりできるようになると説明している。また孫社長はプレスリリースで「向こう5年間で、英国におけるARMの従業員数を、少なくとも倍増させようと考えている」と述べている。

 ARMの2015年12月期の売上高は9億6800万ポンド(約1350億円)で当期純利益は3億3900万ポンド(約470億円)。ソフトバンクグループは2016年9月30日までにARMの買収を完了させるとしている。同社はARMの買収に必要な資金を調達するために、みずほ銀行との間で総借入限度額1兆円のブリッジローンを契約した。